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先を読む経営で、新規事業を育てる福岡金網工業

福岡金網工業(株) 代表取締役 山本 健重
福岡市博多区吉塚1−3−11 tel 092-621-3000

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 ここ数年、建設関連企業の異業種進出が目立つが、福岡金網工業鰍ヘ8、9年前に環境事業部を設置し、パソコン・ディスプレー等の回収を手がけていたが、昨年から再生パソコン、ディスプレー等の販売にも乗り出した。
        (ジャーナリスト 栗野 良)

 

環境事業部を設立

 「やがて公共工事は減少すると予測していましたから、早くから新規事業への進出を模索していました」(山本健重社長)
 福岡金網工業はコンクリート製品用鉄筋金網の製造販売が中心。それだけにどうしても公共工事の影響を受けざるをえない。こうした体制からの脱皮を目指し、社内に環境事業部を設置したのがいまから8、9年前。
 最初に手がけたのは廃ガラスの再利用。廃ガラスから水質浄化作用のある擬石を作り、河川の環境浄化に効果を上げた。また、魚礁へ応用し、ユニークな魚礁も開発した。
 いずれも高い効果を認められ、廃ガラス使用の擬石は熊本県の河川で採用されたが、自然石等に比べて高い価格がネックになり、本格的に広まるまでにはならなかった。

PCのリサイクルに

 次に着目したのが、IT時代を象徴するパソコンのリサイクル。平成13年4月、資源有効利用促進法が施行され、事業系ユーザーからのパソコン回収・再資源化が義務づけられたが、それと相前後して、同社は産業廃棄物の収集・運搬・処分業免許を取得。本格的にパソコンの回収・再資源化事業に乗り出した。
 当初はリースアップパソコンを回収し、希少金属などの再資源化可能な材料と廃棄処分以外にない材料に分別処理していたが、昨年から本格的にパソコンの再生・販売を行いだした。

再生パソコンの販売を

 「結構、程度のいいパソコンが入ってくるようになったので、オーバーホールし、部品交換、動作確認までして、再生品として販売店に卸しています」
 昨年10月から、事業用に続き家庭用パソコンの回収・再資源化が義務づけられたのも追い風になった。大手家電量販店等が一斉に中古パソコンの販売に力を入れ始めたからだ。現在、同社は福岡市内の大手家電販売店数社に再生パソコンを卸している。
 中古パソコンの最大の魅力は新型パソコンに比べて一桁安い価格。複数台使用する中小事業所や、文書作成やメールの送受信、インターネット利用ができればいいと考える初級・中級者に支持され、市場が拡大している。
 同社ではデスクトップ、ノートパソコンのほか液晶ディスプレー、CRTディスプレーも再生しており、事業所等での購入希望者が直接若宮工場に訪れ購入していく例も増えている、という。

非金網部門の比率アップ

 常に「時代の風を読んだ経営をする」のが同社。JISの認定工場になったのは業界で県内2番目だし、平成14年3月には熊本・若宮・大村の3工場がISO9001の認証工場になっている。
 とはいえ、売上高20億円の内まだ主力の金網部門の売り上げが13億円、環境事業その他が5億円、物流部門2億円と、鉄筋金網部門の比率が圧倒的に高い。「近い将来、金網部門と非金網部門の比率を同程度にまでしたい」と山本社長は語る。


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