デル株式会社

 


不正列島、日本(1)〜日本の食が危ない。(1)
〜アサリの産地偽装と「長いところルール」


栗野的視点(No.759)                   2022年2月24日
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不正列島、日本(1)〜日本の食が危ない。
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 「不正列島、日本」と言っていい程、不正がまかり通っている。不正、偽装はありとあらゆる分野に及び、今では何を信じていいか分からない程だ。かつて、「Made in Japan」は信頼の証だったが、今や純然たる日本製はなく、日本製を謳っていても原材料は外国産だったり外国製部品というのが当たり前になっている。だが、そうしたものは工業製品だけで食の世界は違う、と思ってないだろうか。
 だが、食も例外ではない。最近、食分野で次々に不正、偽装が明るみに出、もはや国産=安心、安全ではなくなっている。「国産=安心神話」は少なくとも10年以上前に完全に崩壊している。

アサリの産地偽装

 直近でニュースを賑わしたのはアサリの産地偽装。アサリは熊本県産がブランドになっていて(知らなかったが)、市場では熊本県産アサリと外国産アサリではkgあたり400円程度の差があるとのこと。
 かなり前に北朝鮮産のアサリを国内産と偽装販売し問題になったことがある。以来、アサリの産地偽装は是正されたと思っていたが、認識は甘かった。是正どころかむしろもっと広範囲に日常化されていたのだ。
 近年、海産物の収穫量は魚をはじめとして激減。そこにkgあたり400円もの差があれば朝鮮半島や中国産のアサリを熊本県産や国内産として販売しようと考える輩が出てきても不思議ではない。
 今やこの国の民から「正直」「真面目」という言葉は消え去り、梨であれブドウであれ、サクランボ、スイカ、柿、米に至るまで他所の農家が栽培したものを収穫期にごっそり盗んでいくという身勝手な犯罪が横行している。しかも年々悪質化してきているのが問題だと同時に、同業者の仕業と思えるものがあるという事実こそが問題だ。

 なぜ、こうしたことが横行するのか。一つには工業製品と違い、足が付きにくいということがあるかも分からない。農産物に生産者名が書いてあるわけではなく、DNAでも採取して調べない限り分かりにくいし、もう一つには販売業者も薄々分かっていても、あるいはあまりにも安すぎる、いつもの納入業者と違う所からの入荷に違和感があったとしても、仕入れ価格の安さに「不都合な事実」には目を瞑り、自社の利益を優先する考えがあるのではと考えられる。
 要は企業(卸も販売も)の姿勢だが、それらの企業が当初から不正を目的に設立したり、行ってきたわけではないだろう。いつの間にか歪んできてしまったのではと思うが、それを正す考えやシステムが企業のトップから現場に至るまでなかったということだ。

「長いところルール」

 海産物の不正が発覚されるたびに漁獲量と販売量の間に何100倍もの差があるから、少し考えればおかしいと分かるはずと言われながら、相変わらず産地偽装が繰り返されているのは産地偽装しやすい仕組み、食品表示法の抜け道があるからだ。
 食品表示法では生育期間が最も長い所を産地として表示していいことになっている。これを「活用」しているのが熊本産馬肉で、これも10数年前に馬肉の産地偽装の際に問題になったが、その後も改正されていない。

 馬刺しと言えば熊本産と言われるぐらい産地としての熊本は有名だし、両者は切っても切れない関係にあるが、ここでも食品表示法の生育期間が最も長い所、通称「長いところルール」の抜け道が使われている。海外産の若い馬を輸入し、熊本県内で数か月肥育し「最終肥育地熊本県」と謳い市場に出すのは「普通に」行われている。
 我々が熊本の馬刺しと言って食べているものはカナダで育てられた馬だ。それを熊本に輸入し数か月肥育し、最終肥育地熊本県=熊本産として市場に出されている。
 2014年に熊本県の馬肉加工・卸売業者が摘発されたのは熊本県で数か月肥育するという最終段階までも省き、現地カナダで解体処理された馬肉を輸入し熊本産として販売したことからだが、同じことがアサリでも行われている。

 海外で採れたアサリを熊本県の海に撒き、それを採取して熊本県産アサリとして販売する手法だ。しかし、こんな面倒臭くて割に合わないことをするものはそういない。どうせ産地偽装するならラベルの付け替えだけでいいではないかと考えるだろう。かくして輸入アサリを一度熊本県の砂浜にバラマキ採取するという中間工程はカットされて、そのまま市場に出回るようになった。

 なぜ、そんなことが行われるのか。それには2つの問題がある。1つは食品表示法の曖昧さ。もう1つは消費者のブランド信仰だ。
 もちろん偽装する業者に第一義の悪があるのは間違いない。しかし、その背景になっている消費者の盲目的なブランド志向こそが偽装を生んでいるが、その認識が欠如している。
 しかし、これらは次の例に比べればまだかわいいものかも知れない。
                            (2)に続く


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