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国は誤りを認め、「コロナ」対策を変換すべき(2)
〜熱中症、インフルエンザ死者数の方が多い


一貫性がないCOVID-19対策

 さて問題はCOVID-19だが、ここらで対策を変えるべきだろう。というまでもなく、政府はこっそりと、うやむやの内に対策を変えているように見えるが。

 4月段階の緊急事態宣言を発した頃と今とでは明らかに政府の対策が変わっている。感染者数が増えていた東京都を「Go to トラベルキャンペーン」から外しはしたが、キャンペーンそのものは全国を対象に行っているし、その後、各県も独自の旅行キャンペーンを続々と開始している。
 COVID-19の感染拡大を防ぐには人と人の距離を保ち(フィジカルディスタンスを取り)、人と人の接触や、不要不急の外出を防ぐのが一番と言いながら、旅行を勧めるのだから、これは明らかに矛盾している。旅行こそ不要不急の外出であり、旅行先で人との接触は避けられない。人と触れ合わない旅ほど面白くないものはないだろう。それこそバーチャル旅行、オンライン旅行で充分だ。

 対策を変更すること自体は悪いことではない。ただ、変更する場合は理由なり根拠を明らかにする必要がある。
4月段階の対応は行き過ぎていたとか、「コロナ」は終息したとか、状況が変わったので過剰な防衛は必要ないとか、今までの行き過ぎたメッセージを取り消すとか。
 そういう説明もなく、うやむやの内に、なし崩し的に一部を解除し、一部は解除しないというのは整合性が取れないし、今後似たような事態が発生した場合の参考にもならないだろう。

 そもそもCOVID-19は本当に「死に至る病」なのか。たしかにアメリカではCOVID-19による死者数が多い。だからといって、それでSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)の毒性が非常に強いとは言えないだろう。
 というのはアメリカには日本のような国民皆保険制度がない。オバマ前大統領がそれに近い「オバマケア」を導入しようとしたが、反対に遭い導入はかなわなかった。
 一部の富裕層は独自の保険制度に加入しているが多くの国民は無保険であり、一度医療機関にかかると数10万円〜数100万円という高額な医療費を要求される。そのためよほどの重病でもない限り医療機関にかかろうとはしない。
 しかも貧富の差が激しく貧困層が多く、糖尿病や高血圧症等の基礎疾患がある人も多い。そういう人はCOVID-19にかかり多少熱があっても、高額な医療費のことを考えると医療機関にかかれないし、生活のために仕事も休めない。インドその他の発展途上国も似た状況だ。

 結果、発見が遅れ、重症化している側面が強いから、アメリカの死亡者数をもって、SARS-CoV-2は過去のインフルエンザとは比較にならない程、感染力、毒性が強いウイルスで危険極まりない、とはならないはずだ。

熱中症、インフル死者数の方が多い

 もう一つは、当初から指摘しているように感染者数より、重症者数、死亡者数に焦点を当てるべきだろう。感染者数を重視するか、重症者数、死亡者数を重視するかによって、対応、対策はまったく変わってくる。

 そこで熱中症とインフルエンザ、COVID-19に関する以下の数値を見ていただきたい。
 まず熱中症である。今夏、8月10日〜8月16日の1週間だけに限って見ても、救急搬送人員数は1万2804人。
 このうち3週間以上の入院加療が必要と判定された重症者数が510人(同週)で、死亡者は30人(同週)を数えている。わずか1週間で、この数字である。熱中症がいかに危険か分かるだろう。
 それが分かれば夏季は熱中症対策を最優先にすべきということも分かるはず。屋外でマスク着用を呼びかける(岡山後楽園、岡山城の夜間ライトアップ)などもってのほかだろう。

 次にインフルエンザ。2018年の死亡者数は3325人。2019年は発表されている9月までで3000人を超えており、毎年3000人超の人が亡くなっている。

 ではCOVID-19による死者数はと言えば、9月1日現在で1307人。もちろん今年末までまだ4か月あるから数字はまだ増えるにしても、3000人には及ばないだろう。

 インフルエンザはワクチンや治療薬があるにもかかわらず、毎年3000人超の人が亡くなっているわけだから、死亡者数を見ればウイルスの毒性はCOVID-19よりはるかに強いことが分かる。
 逆の言い方をすればインフルエンザより毒性が弱いSARS-CoV-2が引き起こす感染症(COVID-19)をなぜ、これほど怖がらなければならないのか。

 理由の1つは感染者数合計69,001人(回復者数は58,428人)という数字だろう。しかし、以前から何度も指摘しているが、重視すべきは感染者数ではなく、重症者数と死亡者数である。

 重点の置き方を間違えているから国民に誤ったメッセージを伝えるだけでなく、対応、対策を間違え、いまだに感染者数ばかりをメディアも一体になって報じる。もうこんなバカげたことは止めるべきだと思うが、一度怯えた人の心は、そう簡単に元に戻らないかもしれない。
                           (3)に続く


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