崩壊するニッポン(6)〜逆回転している時代の歯車(2)
〜内部告発を握り潰した関西電力トップ

 1か月待っても関電トップが動かないと判断した内部告発氏は、4月19日に「最後通牒」と題した第2弾の文書を岩根社長と常任監査役宛に各1通を送付し、不正に関わった幹部を退陣させるよう求めたが、関電トップ達はこの「最後通牒」も無視する。
 6月8日に送られた内部告発文の第3弾は関電トップではなく反原発団体宛であり、公的機関や報道各社に情報提供するとも記されており、関電上層部の金品受領問題が人々の目に触れるようになったのである。

 その後の関電トップ2人の発言は見苦しいのひと言に尽きた。高浜町元助役、森山栄治某から受け取った金品は返還しようとすると相手が激高するので、それが怖くて返還時期が遅れたなどと、自分達も被害者だと言わんばかりの言い訳に終始し、辞任を否定していたのは周知の通りだ。

 関西電力と言えば私企業とはいえ公益企業であり、その企業のトップの八木会長は関西経済連合会の副会長、岩根社長は電気事業連合会の会長を務めるなど、いわば他に範を垂れる立場である。それが長年に渡り多額の金品を受け取っていたばかりか、内部告発も握り潰し、メディアで報じられれば悪いのは相手で自分達も被害者的な言い方までし、責任を回避しようとするとは、もう倫理感も何もあったものではない。

時代は後退している

 繰り返しになるが、一体この国はどうなってしまったのだろう。平気で袖の下を受け取り続け、「そのうち返そうと思っていた」などと嘯く。こんな言い訳がまかり通るようでは、万引きや泥棒して捕まっても「一時拝借しただけで、返そうと思っていました。返します」と言う輩が後を絶たなくなるだろう。

 今の世に流行っているのは倫理もマナーもクソくらえという風潮で、億単位の使い込みも珍しくなくなったし、犯罪を取り締まるはずの警察官がセクハラ、盗みなどで取り締まられていたり、生徒にイジメはダメと言いながら、一方で同僚教師にイジメや暴行に及んでいる。
 今や教師の犯罪はなんでもありで、ちょっとウェブで検索すれば使い込みから盗撮、セクハラなど枚挙に暇がないほど。

 警察官も負けず劣らずの状態で、盗み、詐欺、万引き、盗撮、中には留置中の女性の下着を盗んだというのもある。いずれも40代、50代の警察官だから、もう職業、年齢に関係なく、この国は上から下まで「壊れている」。
 こうしたことが平成、令和の時代に行われているとはとても思えない。今は戦後の昭和か江戸時代と言われてもおかしくない。どうやら時代の歯車は逆回転しているようだ。

高速・夜行バス予約サイト WILLER TRAVEL 博多・小倉 ⇒ 大阪・京都・神戸


(著作権法に基づき、一切の無断引用・転載を禁止します)

トップページに戻る 栗野的視点INDEXに戻る



GROUPON(グルーポン)