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水道水が生命を脅かす。(2)
〜拡大するPFAS汚染


広範囲に使用されているPFAS

 だが、あなたが毎日飲んでいる水道水が有害で、生命を脅かされていると聞けば、さすがに無視できないだろう。
 なにをバカな、と思われるかもしれない。しかし、これは決して架空話でも脅しでもなく、飲み水が汚染されているという事実は数年前から指摘されているが、自治体もメディアもあまり大々的に報じないから、被害地域以外の人がその情報に接する機会が少なく、また情報を知り得ても対岸の火事程度の認識に終わっているのではないだろうか。

 PFAS(ピーファス)という名を見聞きしたことがあるだろうか。有機フッ素化合物の総称で、水や油をはじき、熱や薬品に強く、電気を通しにくい、光の屈折が少ないという特性を持つ化合物である。こうした特性は実に使い勝手がよく、便利なため、我々が日常的に目にし、使っているあらゆる製品に広く使用されている。
 例えばフッ素加工のフライパン。焦げ付きにくいからと多くの家庭で使われているだろう。このほかにも炊飯器の内釜加工や、撥水加工が施された衣類や靴、ピザやハンバーガーなどに使われる厚紙箱や包装紙、消火器に含まれる泡消火剤、金属メッキ液、半導体の表面処理剤、工業塗料への添加材等々に使われている。

 手軽に使え、便利な物質は用途がどんどん拡大していく傾向があるのはフロンの例を挙げるまでもないだろうが、PFASはフロンに並ぶほど便利な物質であるが故に使われ過ぎる。過ぎたるは及ばざるが如し、という格言はここでも当てはまるが、人間は欲深い生き物で、足るを知る、不足を持って常とすることはできないようだ。

 問題なのはPFASのもう一つの側面、自然界で分解されず水や土壌に蓄積され続けるという特性である。しかも水に溶けやすいときている。

 こうした側面があっても人体に悪影響を与えなければ、こんなに便利な物質はないのだが、ここ数年、PFASの有害性(発がん性)が分かってきたため、欧米では厳格な基準が設けられ規制されだした。

 人体への影響は甲状腺疾患、血中コレステロール値の上昇(心疾患危険因子)、肝疾患、腎臓がん、抗体反応の低下、乳児・胎児の発育低下などのリスクが高いと指摘されている。
 これらは現在分かっている、発症の確率が高いものだけだから今後さらに増える可能性はある。

 まさに諸刃の剣。非常に便利な人工化合物だが、一方では健康被害を生む悪魔のような物質で、取り扱いには注意を要する。
                 (3)に続く

#PFAS汚染


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