RyuRyumall

 


なぜ、企業は営業教育を疎かにするのか。(2)
〜社内でロールプレイングもせず


「社内でロールプレイングはしないのか。先輩が電話するのを見て覚えろというOJT教育しかしないのだろう」
「その通りです」
 といとも簡単に認めてしまった。これでは新人がかわいそうだし、せっかくの人材も育たないだろう。
 なぜ初歩的な教育、研修をしないのかと疑問を感じるが、理由は2つほど考えられる。
 1つは教育、研修に割く時間を非生産的と考えている。要は目先しか見ていないのだ。一見回り道をしているようでも、そこで割いた時間はムダどころか後で返ってくるということに気付いていない。言い方を変えれば、それほど企業に余裕がないということになる。
 もう1つは論理的に教育できる先輩がいないのだろう。これは中堅社員自身がきちんとした教育、研修を受けてないからと思われる。

 私は会社勤め時代、営業でとても苦労した経験がある。先輩に同行して覚えろと言われても、それぞれ独自のやり方だったり、手の内を見せたくなかったりで、OJTなんかで身につくものはほとんどないと感じた。
 そこでなにをしたかというとセールスや心理学などの関係本を読み、セオリーがあることが分かり、それを勉強した。そして営業は科学だと分かった。
 その結果分かったことは、営業でも販売でも向き、不向きは存在しないということだ。科学だからセオリーさえ覚えれば、誰でも一定程度のラインまではできるようになる。
 それ以上になる、トップセールスマンと言われる存在になるには天性の能力や感性が必要だが、そこまで望まなくても、いうなら平均レベルまでなら誰でも無理なくできる。
 企業にとっては1人のホームランバッターより、ヒットを打てる打者が8人いる方がコンスタントに点を稼げる、成績が上がるからいいはずだ。にもかかわらず、そこに力を入れないから、できない社員は自分には向いていないと思い辞めていく。せっかく経費もかけて採用した社員が1、2年で辞めていくのは経費面からみても大きな損失になる。もう少し考え直すべきだろう。

 最後に疑問に感じた点を件(くだん)の社員に質した。
「名簿はどこから入手したのか」
「e電話帳です。登録されたのではないですか」
 e電話帳? 初めて耳にした名称だった。もちろんそんなものに登録した覚えはない。しかし、そこには氏名、住所、電話番号まで皆載っているというではないか。
 電話を切った後しばらく考えてみた。どこにも登録していないから、どこぞから漏れたに違いない。
 例えばクレジットカードを新規に作れば、ほどなくどこかから電話がかかってくるということは以前よくあった。カード会社から情報が漏れたのだ。
 最近ならFacebookの個人情報が大量にネットに流れたというニュースは何度か目にしている。Facebookは信用していないから、私は使ってもいないし登録もしていない。

 とすると、どこから。唯一考えられるのはホームページから自動的に収集されたということだ。「e電話帳」という名称からしてネットとの関連を想像させる。そういえば「ホームページの制作を請け負います」とか各種案内などがeメールで届くし、中国・大連の製造業から製造請け負い等のeメールが頻繁に届く。いずれもネット上で自動収集しているのだろうが、常にどこかで誰かに見られているようで気持ちのいいものではない。個人情報、プライバシーをいかに守るかというのは重要な問題だが、大半の人はそのことに無頓着なように見える。




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