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目を覆いたくなる政治家の質低下(2)
〜大久保利通になり切れなかった男(2)



 権力奪取までは一致して当たるが、権力奪取後に「内ゲバ」(主導権争い)で揉め瓦解、というのは歴史をちょっと知っている人間ならよく分かっているはず。揉める原因は主導権争いと嫉妬である。にもかかわらず相変わらず同じことを繰り返すのは人間の悲しい性だろうか。

 小沢一郎ほどブレない政治家はいない。彼は議員になりたての頃から「政治改革」を標榜し、良し悪しは別にして、現在の小選挙区制は小沢一郎が目指したものである。政権交代が可能な2大政党政治にしたい。彼は議員になりたての頃からずっとそう考え続けてきたのである。そのために身を捧げてきたといっても過言ではないだろう。

 そして小選挙区制は実現できたが、彼が目指す2大政党政治は実現できなかった。野党が弱すぎたからで、強い野党を作り政権交代を可能にしなければならない。そのためには数がいる。
 まあ大雑把に言えば、小沢一郎はそう考え、野党の結集を訴え、仕掛けてきた。過去2度は曲がりなりにも「成功」した。それでも小沢が目指す政権はできなかった。そして今度が3回目だ。「今回が最後の挑戦」と言っているが、彼の年齢を考えれば間違いなく最後の挑戦だろう。
 3回目の正直、という言葉がある。小沢一郎の3回目の挑戦は成功するだろうか。残念ながら失敗に終わるだろう。

非情になり切れない小沢一郎

 なぜ、失敗に終わるのか。先の「文芸春秋」で早坂茂三氏が「西郷になり切れなかった男」というタイトルで小沢一郎について書いているが、その中で彼の次のような言葉を紹介している。
 「早さん、俺は西郷南洲が本当は好きです。彼には情がある。人間は、やっぱり情だよね」
 その一方で「政治家としては大久保利通に惹かれます」とも。

 早坂氏は小沢一郎を称して「西郷になり切れなかった男」と書いたが、私はむしろ逆で小沢一郎の失敗は「大久保利通になり切れなかった」からだろうと思っている。情に引きずられ、非情に徹しきれなかったのだ。
 時代に取り残され不満を高めていく士族に担がれるような形で決起した西郷隆盛に似て、世界を感じ、新しい体制への移行を急ぎ、そのためには非情になることも厭わなかった大久保利通に政治家としては惹かれながらも、そこに徹することが出来なかったのが小沢一郎の弱さ、弱点ではなかろうか。

 もし、彼が大久保利通になり切っていれば、小沢首相が誕生していただろうし、その機会は過去2度あったはずだが、彼は権力を簒奪しながら、自らがトップの座に座ろうとはしなかった。
 権力に固執しない点でも西郷隆盛と似ているが、彼が不幸なのは常に師である田中角栄や金丸信の姿を重ね合わせて見られてきたことだろう。
 それが故に、首相の座に就かなければ「陰で操ろうとしている」と「闇将軍」のようにメディアを含め見られてきた。その責任は小沢一郎自身にもある。
 政治と政界を熟知しているのだから一度は権力を掌中にすべきだった。そして彼が目指す「政治改革」を実行すべきだった。そうすれば日本の政治はここまでダメになっていなかったかも分からない。

 小沢一郎のもう一つの責任、弱点は発信力不足である。彼の交渉力が秀でているのは日米交渉や公明党、社会党との交渉、抱き込みでも証明されているし、1対1で会談した相手は会談後、押しなべて小沢に対する見方を一変させている。
 これを多数の前でやればいいのだが、それができない。大体言葉少なくなるか、黙してしまう。この性格は今の時代、逆方向にしか作用しない。

 もし小沢一郎がもっと能弁だったら、日本の政治は変わっていたのではないだろうか。彼は例えるなら中小企業の職人タイプの社長である。社員や部下に懇切丁寧に教えたり、マニュアル化をするのが苦手で、自分でした方が速いと考え、また自分ですれば望んだ通りの結果を出せる。
 それなら社員教育に力を入れ、自分のノウハウを教えればいいではないかと思うが、職人タイプの人間にはそれが出来ない。「技術は盗むものだ」という考えが染み付いている。

 もう一つ不幸だったのは、小沢一郎の懐に飛び込み、彼を理解し、彼が苦手な部分を代わりにやろうという副官的な人間がいなかったことだ。
 今の政治家の中で小沢一郎から最も学んだのは、れいわ新選組を立ち上げた山本太郎ではないだろうか。彼は小沢にない、多くの人、大衆に直接訴えかける力を持っている。ほかは政治屋ばかりで、政治家と呼べる連中はいやしない。その筆頭は安倍晋三だが。


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