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真夏の夜の悪夢(4)
〜林真理子は青島幸男と同じ失敗


林真理子は青島幸男と同じ失敗

 この夏は本当にいろんなことが起きる。ワイドショーが連日、様々な事件・出来事を取り上げ瞬間湯沸かし器よろしく騒ぎ立てるのは毎度のことだが、今回はビッグモーターと日大アメフト部員のマリファナ事件が2大横綱か。
 ビッグモーターという会社には怪しさを感じていた。今から3、4年前のことになるが、「車を売るならビッグモーター」というCMがよく流れるし、自宅近くにビッグモーターの店舗があったので、車の売却査定をした。
 その場で車の点検をし、ネットで上司に相談し、提示してきた額がこちらの想定額とあまりにも離れていたので、売却するのをやめた。

 そこまでは別に問題ないのだが、後日、担当者から「お車のBMWはまだお持ちですか。よければ査定してみませんか」という電話がかかってきたから驚いた。査定は先日したはずで買い取り価格まで提示されていたから「あの価格なら売らない」と断った。
 ところが「いや、この間は査定していません」と言い張り、執拗にBMWを買いたがる。その姿勢に疑問を感じ「とにかく君の所では売らないから」と言って電話を切った。
 「車を売るならビッグモーター」なんて調子のいいCMを流しているが、この会社はおかしいと思っていたら今回の件だ。
 どんなに上手に隠しているつもりでも会社の体質はチラッと出て来るし、トップの顔つきや言葉尻に出てくるものだ。要は表面に出た些細な変化を読み取るかどうかだろう。

 ところで、日大アメフト部員の薬物事件は質が悪い。質が悪いというのは日大の体質が何も変わってないことが明らかになったからだ。
 林真理子・日大理事長以下、学長、副学長3者揃っての会見内容は酷いものだった。
 そのことについてはメディアでも散々取り上げられているからここでは言及しないが、林真理子氏に対しては案の定というか、お気の毒というか、ご本人が否定しても「お飾り理事長」にさせられていたのは間違いないだろう。

 私は今回の会見を見ながら青島幸男氏のことが頭に浮かんだ。あの「青島だァ!」のギャグで一躍有名になったマルチタレントだが参議院議員、後には東京都知事を1期務めた。現在では当たり前のように行われている、選挙の際の政見放送は青島氏が参議院議員時代に提案し、実行されたものである。

 彼は世界都市博覧会の中止を公約に掲げて都知事選に臨み、鈴木俊一前都知事の事実上の後継者と目された石原信雄や大前研一、岩國哲人、上田哲などの有力候補者に大差を付けて当選し都知事に就任した。
 都知事就任後、都議会は都市博の開催を決める決議を可決したが、彼はそれを断固としてはねつけ、公約通り都市博開催を中止した。
 ここまでの青島都知事はかっこよかった。しかし、ミイラ取りがミイラになり、都庁という巨大な魔物に飲み込まれ、官僚、役人の言いなりになっていった。言いなりというのは少し言い過ぎかもしれない。彼らの方が上手で、多勢に無勢。数字を盾に都知事を説得して行ったのだ。

 青島氏の失敗は都庁という魔物が蠢く伏魔殿にたった一人で乗り込み、槍1本で戦いを挑んだことだ。
 林真理子理事長も同じ轍を踏んだ。日大という巨大な組織は都庁以上かもしれない。得体のしれないそんな組織に乗り込み「改革をする」のは魔物が棲む伏魔殿に徒手空拳、武装もせずたった一人で乗り込み戦いを挑むようなものであり、風車相手に戦いを挑んだドン・キホーテ以上の勘違い、楽観者、あるいは自信過剰者。

 理事長就任時に改革をともに行ってくれるブレーン達を引き連れて臨むべきである。あるいはそれを条件に理事長就任を引き受けるべきだったであろう。
 周囲は皆、田中前理事長派であり、その中にたった一人で切り込んでも改革どころか討ち死にがいいところで、旧勢力もそれを望んでおり、その通りになったということだ。

 まあ、かく言う私も策を弄するのは苦手で、後先考えず直情のまま単騎で切り込むタイプだから他人のことをとやかくは言えないが。


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