Eメールのエチケット(2)ーー最低これだけは気を付けたい。


 Eメールの普及で筆無精が減り、コミュニケーションが取りやすくなったのはいいことだが、その一方で礼儀作法無視のメールが横行しだしたのは困ったことだ。
 ビジネス文書の場合、従来なら「拝啓 貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」という書き出しで始まっていたが、Eメールはディスプレイ上で読むためできるだけ用件を簡潔に記すことが求められ、「拝啓」云々は省略して、いきなり用件に入ることが多い。
そのため若い人達の中には礼儀作法を無視した書き方をする人が目立つ。
 若い人、特に30代以下の人達のメールにその傾向が顕著だが、それは携帯メールを多用していることと無関係ではないと思っている。

 携帯電話の場合、1画面の表示文字数がパソコンに比べると圧倒的に少ないから、どうしても文章が短くなり、しかも細切れになる傾向がある。
おまけに友達同士のやり取り中心だから敬語、尊敬語、謙譲語などは使わないし、使う必要もない。
友達同士の場合はそれでもいいが、ことビジネス文書となるとそういうわけにはいかない。
ところが、普段携帯メールを使い慣れているものだから、ビジネスメールの場合でもつい普段の表現が出てしまう。
悪いことに、普段のそうした使い方が相手によっては失礼になることさえ気付いていないからやっかいだ。

1.宛名は<様>が無難。<殿><さん>はやめよう。

 例えば封書やハガキの宛名に○○殿と書く人がいる。
こう書く人には2つのタイプがあり、1つはお役所仕事をしている人、あるいは役所言葉に慣れ親しんでいるタイプであり、もう1つは<殿>と書くのがなんとなく格好いいと思っている若い世代だ。
 たしかに殿を「との」と読めば家臣が主君に対する呼び方になる。
しかし、その後<殿>は目下の者に対して使ったり、相手を見下した使い方になっている。
そのため一般に使われることはほとんどないが、役所が出す文書等の宛名に<殿>が使われていた時代が結構あった。
ところが、それも指摘され、いまでは役所でさえ宛名に相手を見下したような<殿>は使わない。
代わりに使われているのが<様>である。

 さすがにEメールで<殿>を使う人は少ないが、結構多いのがEメールの最初に<○○さん>と書く人。
相手が年下、あるいは同年配で旧知の間柄ならそれでもいいだろうが、年上や初対面の相手には<○○様>と書くべきだろう。
 では、文中でも<○○様>と使うべきかといえば、初対面の相手ではなく、比較的親しい間柄などの場合は<○○さん>でいいだろう。

2.ファイル添付は注意が必要

 Eメールのやり取りになれてくるとファイル添付で送るメールが増えてくる。
デジカメで写した写真や資料を添付して送りたくなるからだ。
ところが、思わぬ落とし穴や、相手に迷惑をかけることがあるので注意したい。

 私の所にも様々なところからメールが送られてくるが、F市のデザイン関係のセクションからも定期的に各種案内メルマガが届いていた。
ところが、ある時あまりにもサイズが大きいメールが届き、受信に随分時間がかかり困ったことがあった。
見ると添付ファイル付きメールで、雑誌等に掲載されたデザイン記事をPDFにして添付されていた。
 そこでメルマガでは基本的に添付ファイルは送らないのがエチケットだし、送る時は圧縮してサイズを小さくするように、と返信したところ、添付ファイルなしにはできないので、以後メルマガの配信をストップしますといってきた。
元々こちらから送ってくれと頼んだわけではなく、先方が勝手に送ってきていたメルマガだから、いまさら配信ストップされてもどうということはないが、その対応の失礼さに唖然としたことがあった。

 同じような例で、某建築事務所が自分の建築作品を写真撮影して毎回送ってきていた。
これもある時、写真のサイズを小さくして送るように注意すると、以後はサイズダウンしてくれた。
 ところが、ある時出先でメールチェックしようとすると、途中でメールソフトがフリーズしたようになり、残りのメールが受信できない。
かなり辛抱強く待ったが、どうしても1つのメールのところでストップしてしまう。

 私が使っているメールソフト(Shuriken Pro4 / R.2 DL版)では未受信メールは何件で、いま受信中のメールサイズはいくらかが表示されるので、サイズを見ると大きめのメールと比べても2桁も大きいサイズになっていた。
 やむなく出先でメールをチェックするのを諦め、出張から帰ってオフィスで受信することにした。オフィスは光回線だから、少々サイズが大きくてもストレスなく受信できるからだ。
 さて添付ファイルの中身はといえば、建築家が雑誌に紹介された自分の記事をPDFファイルにしたものだった。この場合もサイズを指摘すると、以後メールを送ってこなくなった。なんともはや・・・。

 こんな例ばかりではなく、写真家の大城憲治氏のように毎回本人撮影の写真数点をメールで送ってくるが添付ファイルではなく、写真をアップしているHPのアドレスを書いてくる人もいる。

 >今、花言葉・色のエネルギ−について調べています。
 >〇最初はコチョウラン 「花言葉はあなたを愛します」
 >人類すべての人々へのメッセ−ジにしたいと思います!!
 >写真は↓
 >http://photos.yahoo.co.jp/eirian3470

 という具合だ。
これならいくら大きな写真(といっても限度はあるが)でも大丈夫だ。

 年賀の挨拶に添付ファイル付きメールを送ってきた人は多い。
かくいう私も今回添付ファイル付きメールを送ったが、見ているとやはりファイルサイズを気にしている人は少ない。

 では、一般的に写真を送る場合のサイズはどの程度が妥当だろうか。
まず撮影した写真をそのまま送らないことは礼儀だ。
写真は必ず圧縮して送ること。
サイズは1点800×600pixelsぐらいが妥当だろう。複数枚の場合は1点640×480pixelsにはして欲しい。
ともあれ送信前に添付ファイルのサイズをチェックしてみることが重要だ。

3.その他の注意点

 イ)署名は必ず付ける。
  メールアドレスが変わりましたというメールに旧アドレスはおろか新アドレスも、自分の名前さえも書かずに来たメールがあったのには仰天した。

 ロ)返信メールに元メールを全文付けない。
   返信メールに元メールを全文付けたまま送る人がいるが、これは礼儀違反。
 引用は最小限にするのが礼儀だろう。
 これなども返信前に自分が書いたメールをちょっと見直すだけでできる。


(著作権法に基づき、一切の無断引用・転載を禁止します)

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