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権力に擦り寄る女達が見せたパフォーマンス


 第2次安倍内閣がスタートした。
マスコミ各紙が8月27日〜28日にかけてそれぞれ実施した世論調査によれば内閣支持率は少し回復したようだが、新聞社によって調査結果がまちまちなのは面白い。
 支持率が回復したという点こそ各社共通だが、まだ不支持率が支持率を上回っているとしたのは産経新聞社・FNN(フジニュースネットワーク)系(支持率38%、不支持率42.9%)と毎日新聞社(支持率33%、不支持率52%)、朝日新聞社(支持率33%、不支持率53%)。
 逆に支持率が不支持率を上回ったのが日本経済新聞(支持率41%、不支持率40%)と読売新聞社(支持率44.2%、不支持率36.1%)の調査だ。なんとなく安倍政権に対する各社の距離感が支持率数字に表れているようで面白い。

 面白いといえば第1次安倍内閣の女性閣僚2人のパフォーマンスだった。
女性2人とは横滑り入閣が果たせなかった小池百合子氏と高市早苗氏のことだ。
この2人のパフォーマンスは一見対照的だが、根は同じである。
 共通しているのは「政界渡り鳥」と「権力と寝たがる女」と揶揄される点。渡り歩いた政界の数と権力への執着心では小池氏の方がはるかに格上で、高市氏は足元にも及ばない。
 小池氏は日本新党時代は細川首相(当時)に、新進党、自由党時代は小沢氏に擦り寄っていたが、その後、小沢氏に見切りをつけて自民党に入党。小泉政権では小泉氏に露骨に擦り寄った。独身の小泉首相のために手作り弁当を届けたり、わざと「あなた」と呼んだという話さえマスコミが報じているほどだ。

 この人はパフォーマンスが上手で、環境大臣になった時は「クールビズ」を打ち出し、ノーネクタイの軽装というだらしない格好を国会、特に与党に浸透させてしまった。
 服装が乱れれば規律、規範が緩むのはいつの時代も同じで、結果が与党議員の相次ぐ不祥事である。まあ、そんな奢りと緩みがあればこそ、自身は安倍内閣でも内閣総理大臣補佐官、防衛大臣に就いたのだから、してやったりというところだろう。

 ところが、「初の女性防衛大臣」という地位に浮かれすぎた。
就任直後に訪米し、ライス国務長官と会談した際、自らを「マダム・スシ」とジョークを飛ばすなど得意絶頂だったが、まさに好事魔多しで、強引な事務次官人事で墓穴を掘った。
 しかし、この後、内心再入閣を期待しながらも、わざと素っ気ない素振りを見せ、プライド高い女を演じたのは見事だった。

 一方の高市氏は常に「あなた一筋」という可愛い女を演じることに腐心していた。
森内閣の時も勝手連的に森首相を支えるスタッフを演じたし、安倍内閣で入閣を果たすと、8月15日に現役閣僚の中ではただ一人、靖国神社に参拝した。
「あなたの代わりに私が参拝してくるわね」と、どこまでも可愛い女を演じてみせたのだ。

 こういう女はどこの世界にもいるもので、「あなたのことを理解しているのは私だけだから」と恩着せがましく迫る女、「私がいるからあなたは持っているのよ」という素振りを見せるプライドばかり高い女ほど始末におえない。
 愛情のお仕着せも、恩のお仕着せも共に迷惑なだけだが、当の本人達はそのことに気付かないからよけい困る。

 例えば小池氏が防衛大臣になってしたことといえばアメリカに自分の売り込みに行ったこと以外には、省内人事を混乱させただけだが、退任式の際にわざわざ「アイ シャル リターン(私は帰ってくる)」と、第2次世界大戦の時にマッカーサーがフィリピンを去るにあたって言った言葉を当て付けがましく言ったが、「冗談じゃない。2か月の間省内をかき回しただけではないか。二度と帰ってきてもらわなくていい」というのが省内の声だった。

 小池氏は表向き再任も閣僚の横滑りも拒否、閣僚に未練はないという姿勢を取ったが、下駄は安倍首相に預けているというニュアンスの発言をしていたことからも本心は逆だということがよく分かる。
 私から好きだというのは嫌。でも相手が好きだといってくれば考えてもいいわ、というのは、昔からプライドの高い女がよく使う手である。権力に未練たっぷりなくせに、わざと素っ気ない素振りを見せ、「後はあなたが決めて頂戴」とやったわけだが、段々再入閣はなさそうと判断してくると、今度は「振られる前に、自分の方から振る」手に変えたようだ。

 まあ、プライドが高すぎる女も、思い込みが強すぎる女も困るが、節操がない女はもっと困る。
だが、最近は男にもこういうタイプが増えているからなお困る。
擦り寄ってくる人間は可愛いし、重用したいと気になるのは誰しも同じ。
しかし、パフォーマンスに目を奪われていると本質を見誤ることになる。
では、本質を見抜くにはどうすればいいか。
それについてはまた稿を改めたい。


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