|  前回、福岡のマリノアシティについて書いたところ、皆さんも随分興味がおありだったようで読者の方からメールが寄せられました。
 そのなかから2つだけ取り上げ紹介すると共に、少し私の見解も追加しておきます。
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■大川市の(株)添島勲商店、(有)いぐさブティック草・佐々木 徹社長から
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 いつもメールをありがとうございます。
 アウトレットの事ですが、私が非常に気にしている事があります。それは日本のアウトレットモールの販売価格が異常に高い事です。
 私見ですが、アウトレットモールの価格水準は今や世界共通になっているという感じがします。
 多くのアウトレットショップに行った買い物をし続けた感想です。
 ところが、日本のアウトレットショップだけは世界水準の2倍の価格なのです。たまに同水準の物があると思って商品を調べると、その商品の品質がわざと落としてある低価格販売用商品です。
                        「い草文化を世界に!業界と生活者を結ぶ企業として
 業界の変革者たらんと欲す」
 (株)添島勲商店、(有)いぐさブティック草
 〒831-0014 福岡県大川市中木室23-1
 TEL:0944-88-1141 FAX:0944-88-1503
 佐々木 徹
        ☆            ☆from 栗野
 アウトレットとはもともと工場の出口で授業員やその家族向けに、ちょっとした色
 落ちや、糸抜けなどのいわば不完全商品を安く販売していたのが発祥で、そういえば子供の頃、グリコ大阪工場で働いていた親戚の叔母がよく形崩れのビスケットを大量に持って帰っていたのを思い出す。
  デパートなども従業員販売で、高級ジャケットを5,000〜1万円で販売したりしていた。その代わりサイズが1つしかないとか、糸が1本抜けているとか言った物だった。ただ、よく見ないと「欠陥商品」とは分からないので、非常に買い得で、こうし
 た買い方を覚えると、まともな価格で買うのがバカになってくる。
  問題はサイズ、カラー、購入時期が選べないということだが、うまく情報をキャッチして買うことができれば(飽くまで従業員向け販売なので従業員の紹介、あるいは家族チケットのようなものが必要だが)、本当に儲けもので、私なども以前はそうした恩恵にちょくちょく預かることができた。
  そういえば岩田屋が直接仕入れ直接販売に乗り出し、海外ブランド物を含め大量に買い付けしたものの大失敗で、売れ残り在庫の山を築き、箱崎埠頭の倉庫に商品が大量に眠ったままになっているという噂話が一時期流れていたが、それらの商品も一部は従業員向けに格安で販売したはずである。運良く買うことができた人は幸運だったに違いない。私もあの時は買いたかったな〜。(^^ゞ
  佐々木社長のご指摘のようにアウトレットだからといって「格安」ではないように思う。少し安いという程度でか。
 特にデフレで全体的に商品価格が下がっているから価格的な格安感はそれ程ないように感じる。
 私は佐々木社長ほど各地でアウトレットモールを見たわけではなく、海外はニュージャージのアウトレットモールしか経験がないが、それでも20−30%OFFでしかなかった。
 この程度のOFFならデパートのバーゲン時でもなることがある。
  ところで、日本のアウトレットショップの高さだが、考えられるのはやはりテナント料の高さからではないだろうか。
 もう一つにはアウトレットと名の付く物が大小合わせれば結構な数になる。
 普通に考えればそんなに商品があるはずがない。
 そのため本当に粗悪品まがいのものがアウトレットという名で売られている。
  あえて場所は明かさないが、アウトレットモールオープン直後に私が買ったジャンバーはチャック部分の縫製があまりにも雑で、チェックを閉めるのにちょっとしたコ
 ツを要するほどだった。
 購入時にしっかり確かめればよかったのだが、いくらアウトレットとはいえ、ここま
 で粗悪品を売っているとは端から疑ってなかったこちらのミスといえばミスである。
  次に言えるのが、アウトレットそのものが一つの流通形態になってしまったということだ。
 当初からアウトレット用に商品を作ったり、アウトレットして流通に乗せているとい
 うことで、既存の流通と何ら変わることがない。
 言葉を変えていえば、これはデパート用商品、こちらはスーパーやディスカウンター、バーゲン用商品として製造し、流通させているというわけだ。
 その結果、以前では考えられなかった粗悪品が売られたり、価格的魅力に乏しくなる。
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■琉球大学工学部環境建設工学科・堤 純一郎教授から
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 栗野様
 お久しぶりです。今回のFJ都市開発の話はとても面白かった,というよりためになりました。鋭い分析で欠点を見抜いているところは「さ
 すが」という感じですね。
 ただ少し違和感を覚えたのは,アメリカのアウトレットに関する記述
 です。アメリカのアウトレットには何もないような郊外にできた完全
 にアウトレットだけの非日常的な空間もありますが,(主にカリフォ
 ルニアなど)東部や中西部などではアウトレットと単なるスーパーの
 境目が比較的低く,けっこう日常的な商業施設になっているところを
 たくさん見ました。やはり地域性があるように見えます。
 ダイヤモンドシティのような感じのところが多かった
 ように思います。規模はもっと大きいですが。これから先,このよう
 な大型開発の商業施設がどうなるか,興味がありますね。私は開発行
 為に伴う環境影響評価の審査員をやっている関係で,そちらの面から
 考えてしまいますが,開発に伴う(商業的)リスクは今後,どんどん
 大きくなると思います。
 蛇足ですが,マリノワシティがあまり面白く
 ない理由はもう一つあると思います。西区小戸へ向かうときに,何も
 ときめきを感じないのです。道路はいつも渋滞だし,特に楽しい町並
 みや景観でもないし,楽しいところへ向かっている感覚がまるでない
 のです。ただアウトレットがあるからそれだけのために行ってみるか,
 というだけです。これではもう2回目はありません。これは福岡周辺
 のすべてに言えることかもしれません。
 ハワイのワイケレアウトレット
 に向かう時に感じるような開放感と美しい山並と無料の高速道路,そ
 んなインフラがあって初めて楽しみが出てくるのではないでしょうか。
 少なくとも高速道路は無料にしなければいけません。そのために税金
 を払うことは厭いません。生活環境のためのインフラですから,いつ
 までも受益者負担の考え方をするのはやめないといけません。
                        堤 純一郎(工学博士)琉球大学教授
 琉球大学工学部環境建設工学科
 〒903-0213 沖縄県西原町千原1
 Tel: 098-895-8655
 Fax: 098-895-8655
 ☆          ☆
 from 栗野
 アウトレットモールもできた当初に比べるとどんどん形態を変えてきていると思う。
 堤教授ご指摘のように地域性(国性ではなく)があるだろう。
 話は少し変わるが、ついこの間まで「イオンは狸が出るような場所にショッピング
 センターを作る」と言われたものだ。
 ところが、最近はやはり周辺人口がある場所に大型ショッピングモールを作っている。
 同じような動きは家電量販店にも認められる。郊外店舗を得意としていたヤマダ電機が中心部に店舗を作り出している。
 最初は投資コストの安い郊外に大型ショップを建設し、価格差を武器に闘い勝利を収めていくが、やがて彼我の勢力が拮抗し出すと、中心部に攻め入るやり方は分野を問わず同じようだ。
 04.08.12 |