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N の 憂 鬱-22
〜バリ封鎖と逆封鎖、法文本館の激しい攻防戦(1)
「10・21」後の情況


Kurino's Novel-22
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バリ封鎖と逆封鎖、法文本館の激しい攻防戦
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▽「10・21」後の情況

 大阪でML派の仲間と交流し、共にML派の赤白赤のモヒカンヘルメットを被って御堂筋デモに参加した経験はNと共に行ったE大の仲間にとってはいい勉強になった。
 それまで機関紙でしか知り得なかった全国の仲間や活動だったが、交流し、直接意見を交わすことで自分達も全国の仲間と繋がっているんだという思いを深くしたし、疑問や迷いも彼らと意見を交わすことで解消したり、勇気づけられた部分も大きく、全員に変化が見られた。ただ一人、学内に残った野中を除いて。

 御堂筋線デモに参加した連中は今まで四国の田舎都市で行っていたデモと、人数も規模も桁外れに違うデモに参加したことで、大海を知り、政治的に目覚め、大学に戻ってもまだ当時の興奮を引きずっていた。
 一方、学内に残って活動を続けていた野中の方にも、自分は最前線で闘うことから逃げたという思いがあり、御堂筋組に対しある種の引け目を感じ、両者の間に微妙な空気が流れていた。

 それでも表面上は遠征組も居残った方も無事に再会できたことを喜び、他セクトの馴染みの連中とも互いの「武勇伝」を語り合ったりしていたが、学内に中核派の姿が少ないことにNは気付いた。
「中核の奴らが少ないけど、あいつらどうしたんや」
 Nの問い掛けにブントの築山は事もなげに「ああ、あいつらは広島にまだいるんと違う。広大は中核の巣やから、そこで空気入れられてるんやで。あいつら、信念ないから」
 と、いつもの調子で答えた。
「えー、あいつら東京にも大阪にも行かんかったんか。10・21はどうしたんや」
「うん、広島でやったみたい。そんなもんやで、あいつらは」
 築山自身はどこにも行かずE大に残っていた風だが、そんな自分のことは棚上げ、中核派の不甲斐なさをなじった。
 築山の言葉を聞きながら「お前はどうなんだ」と言いかけたが、口には出さず「ふーん。そうか」とだけ答えた。

 10・21国際反戦デーが終わると次は11月に行われる佐藤栄作首相の訪米阻止闘争に向けた闘いが待っていた。
 ベトナム戦争反対の国際世論や行動は盛んになり、日本国内でも米原子力船空母エンタープライズ号の佐世保寄港阻止闘争以来、反戦活動は活発かつ過激化する傾向にあったが、反戦運動はさらなる広がりをみせていた。
 日本国内に米軍基地が存在しているのは日米軍事同盟である日米安全保障条約(安保条約)が締結されているからである。その結果、日本国内の米軍施設からベトナムに向けて爆撃機が飛び立っているというのに、日本政府は安保条約をさらに延長するため、佐藤首相がアメリカに行き、同条約の更新をしようとしている。それは断固阻止しなければならない。

 野党をはじめ労働・市民団体、新左翼各派、そして日共とその下部組織の民青まで反対運動を展開した。ただ団体や組織によって反対運動の方法に違いはあったが。
                            (2)に続く

#10・21国際反戦デー #全共闘運動


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