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それでも増え続ける中国の自動車。この先の選択は?(前)


 8月22日から北京へ行ってきた。
久し振りの中国である。
最後に行ったのは6年前の上海で、北京は9年前。今回は3度目の北京訪問である。
中国の変化は激しく、6年前とは様変わりしているに違いないと予想はしていたが・・・。
 北京の写真はブログの「栗野的風景」にアップしているので、そちらを一読願いたい。

 今回の旅行はツアーに参加して行ったので、いつものように地図とコンパス片手にウロウロし、あちこち覗き見したり、地下鉄やバスに乗って行く先を間違えたりというドキドキハラハラはなかった。
 6年前の上海ではリニアモーターカーの網棚にリュックサックを忘れ大慌てしたが、今回はそんなこともなかった。
 因みにリュックは翌日見つかり、中に入れていた妻の遺骨、パソコンなどと一緒に無事私の手元に戻ってきた。中国で忘れ物が出てきたのは奇跡だと言われたが、亡妻も異国に置き去りにされたくなかったのだろう。以来、遠方に行く時はお守りを兼ねて、いつも同行している。

 それにしてもよく出てきたものだと思うが、幾つかの幸運が重なった結果である。
忘れ物に気付いたのはリニアを乗り換え、地下鉄に乗ろうとした時だったので、取り敢えずホテルにチェックインし、そこで事情を話し探してもらうことにしたが、地下鉄を降りた途端、雨が降り出し、ホテルまで雨の中、荷物をゴロゴロと引きずりながら歩いた時はなんとも情けなかった。
 最初、ホテルの従業員も、上海駅の駅員もまともに探そうという風はなかった。彼らは皆「荷物は出てこないでしょう」と言った。「出てくるわけがない」。そういう態度に近かった。
 幸運だったのは連れの友人が中国語が堪能で、外国生活の経験があり、なおかつ気が強かったことだ。その友人でさえ、諦めた方がいい、明日になって考えよう、と言ったが、とにかくリニア駅まで行ってみたいという私の願いを聞き、上海リニア駅まで行き、交渉してくれた。我々の様子にJTBの中国人社員が見かねて尽力してくれた結果、翌日、彼から吉報が届いたのだった。

今後を予測させるマツダ、スズキ車の普及

 それはさておき、今号では中国の自動車事情について見聞きしたことを少し触れてみたい。
 古き良き中国を知っている人の中国イメージは洪水のように押し寄せる銀輪の波だろう。もし、そうした光景が今でもみられるなら、ぜひ写真に撮りたい、と思うが、そうした光景をカメラに納めるのは少なくとも都市部では無理だろう。
 代わりに目に飛び込んでくるのは行き交う車の洪水。これも一昔のようにクラクションをうるさく鳴らしながら走るわけではない。もはや車が多すぎて、クラクションなど鳴らせないのだ。

 まず驚いたのはマツダとスズキの進出である。トヨタ、ホンダ、ニッサン以外の日本車を見たのは今回が初めてだったが、この2社の進出は中国の車市場が新しい段階に入ったことを意味する。
 スズキは「長安鈴木」。上海などの南でも走っているのかどうかはわからないが、北京では結構走っていた。車種は「スイフト」(だと思う)。

 車は中国では交通手段なのはもちろんだが、それ以上にステイタスである。
乗るためにというより、どんな車を所有しているかが富の象徴なのだ。故に実用性より見た目。つまり大型車、スーパーカーが好まれる。
「中国ではスーパーカーを持っていても、実際には走れません。どこに行っても渋滞だから、スーパーカーに乗っていてもスピードを出せないから意味はありません。それでも何千円もするスーパーカーが売れます」
 中国人ガイドのこの言葉からも分かるように、中国では高い車、大きい車が好まれる。だからVW、BMW、ベンツなどがゴロゴロ走っているし、それらメーカーの小型車は走ってない。日本ではよく見かけるVWゴルフやBMWの1シリーズなどは中国で見かけたことがない。
 ところが、マツダ、スズキ、ヒュンダイの車が増え出したのだ。
マツダ、スズキの主力車は小型車である。ヒュンダイも低価格が武器だ。
中国で車のトレンドが変わりだした予感がする。
                                                (後に続く)


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