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壊れていく日本社会(8)〜AIが人類を奴隷化していく


AIが人類を奴隷化していく

 資本主義の最大の罪は飽くなき欲望の追求と、欲望の増殖である。
人は便利なもの、より楽をできるものを求めるし、一度手にした便利なものは中々手放したくないし、余程のことがなければ手放さない。
 その最たるものが手のひらに収まる小さな魔法の箱、スマートフォン(スマホ)だ。今やこれなくしては「生活」できないスマホ中毒者は多い。
 スマホ依存と言われようと、どこに行くにも持って行き、片時も手から離さない。家族で、恋人同士で話したり食事をしている時でもスマホの画面から目を離さない。
 バスや列車に乗れば乗客のほぼ全員がスマホを手に持ち画面を見ている光景は異常に見えるが、そう感じない程人々はスマホ依存中毒になっている。

 こうした光景は日本だけではなく海外でも似たようなもので、子供がスマホ依存症になることで人とのコミュニケーション能力や思考力、学力、特に文字を書く力が落ちているという指摘があり、学校へのスマホ持ち込みを禁止した国や地域もある。
 それでも16歳未満の子供のスマホ依存による脳力低下は防げず、ついに法律で子供のSNS利用を禁止したオーストラリアや、同様の法案を提出したュージーランドのほかフィンランド、フランス、中国、イタリア、オランダ、韓国などでも子供のスマホ利用を制限する動きが広がっている。
 そして日本でも愛知県豊明市がスマホ利用時間を2時間以内とする条例を2025年9月に可決し注目された。
 法律で規制することには実効性を含め様々な意見があるが、そこまでせざるを得ないほど負の影響が広がっているということだ。

 「ひらがなすらまともに書けない新卒入社」がいたことは既述したが、スマホ依存で、字を読むことはできても書き取りをしていないから漢字は疎かひらがなもまともに書けない(おそらく図形として認識しているだけだろう)大人になってしまったわけで、これは決して特殊な例ではなく、少しずつ、そして急速に増殖している。

 デジタルに支配された現代社会を「テクノ封建社会」と名付けたのはアテネ大教授のヤニス・バルファキス氏である。そしてこの「テクノ封建社会」を牛耳っている支配者は「GAFAM」(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)で、我々一般市民は「デジタル空間に縛り付けられ、自分の時間と個人情報をせっせと貢ぐ”奴隷”」だと看破した。

 だが、ここ1、2年で時代は急激に「進化」し、「テクノ封建社会」の「奴隷」になった我々は「奴隷」の身に何の疑問を感じることもなく、むしろ進んで「自分の時間と個人情報をせっせと貢」ぎながら、わずかに与えられる見返りに満足している。

 貢ぎ物に対し領主から与えられる見返りはChatGPTなどの生成AIだ。
このご褒美を手にした者は今まで以上に早く文章を作ってくれることを喜び、大学のリポート作成はもちろんのこと、社内の文書作成、入社試験の文書作成、取引先に出す文書もChatGPTに作成させる。
 その方が時間短縮になるし、自分が書くよりいい文書が作れる。それなら使わない方がバカだ、とばかりに。

 AIの進歩は目覚ましく、初期の頃は人間が材料を与えAIに覚えさせていたが、今ではAIが自ら学習するようになってきた。つまり並の人間の能力よりAIの方が賢くなってしまった。
 その結果何が起きつつあるのか。
当初はAIに命じて仕事をさせていたのが、逆に人間がAIから指示されるようになってきたのだ。

 「簡単な仕事はAIに任せ、AIが出来ない賢い仕事を人間がする」というのが少し前までの「常識」だった。
 それが生成AIの登場により人間とAIの関係が逆転してきた。
人間がAIの下請け仕事をするようになりつつあるのだ。
AIに指示されたことを指示通りにやるのが人間の仕事になっていく。
単純労働はロボットがAIに指示され行い、頭脳労働はAIが行うから、人間ができる仕事はその中間のことしかなくなっていく。

 「これからはAIの時代だ」などと無邪気に喜べる時代ではない。
今巷に溢れているのは思考力、判断力、倫理観が低下し、短絡的に目先のことしか見ない者が増えている。
 果たして人類に未来はあるのか−−。
                                    (完)


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