航空機の座席、アルファベット順に並んでないのは、なぜ?


 思い込みとは怖いもので、一度そうだと思い込んでいると疑うことをしない。その結果、思わぬ失敗をしてしまうこともある。例えば男性用トイレだと思い込んで入り、個室で用を足して外に出た後に、そこが女性用トイレだったことがあった。その時はスーパーのトイレで個室が1つしかなかったのが幸いして誰にも遭遇することがなく外に出たが、そこが女性用トイレだったことに全く気付かなかった。もし中で人に会っていたら「きゃ〜、チカン!」と大騒ぎになっていたかもしれない。

 同じようなことは病院のトイレでもあった。MRIの検査を受ける直前、検査室前のトイレに入ると小用を足す便器がなかったので、看護師に「男性用のトイレは他にありますか」と尋ね、教えられた方向に歩きかけた瞬間、検査室から呼ばれトイレに行き損ねたが、検査後に再度トイレに入ろうとして、先ほど入った場所は女性用トイレだったことに気付いた始末。
 まあ、これらは自分が入った所が男性用トイレと思い込んでいたというか、表示マークをよく確認しなかった「見落とし」の部類かもしれないが、それはそれで今度は認知症など別の心配をしなければならない。

 2度あることは3度ある、ではないが、先頃エバー航空の飛行機に乗った時にも似たようなことが起きた。
 一般的に座席は「あいうえお」順か「1234」の数字順、または「アルファベット」順に並んでいるはずである。これが乱数字だったり、「あいうえお」順でなかったりすると何が何やら分からず大混乱する。そういうことがないように万国共通の数字かアルファベット、あるいはその2つの組み合わせになっている。

 ところが、そうでないことがあった。エバー航空機に台湾から乗った時、1つ後ろのシートに座った客がクルーに「私の席はGなんですけど」と言っているのが聞こえた。あっ、自分の席が分からないのか、と思っていると、クルーが私に航空券を見せてくれと言う。何をバカなことをいっているのか。私の席は「F」。窓側2列がABで、中席が4列のCDEFと来るから、窓側から横に数えて6列目だ。間違っているのは後ろの客なのに、確認のため航空券を見せてくれだって。航空券はリュックの中で、リュックは棚に上げているから、下ろして確認しろと言うのか。面倒くさいな。もう一度その客の航空券を確認した方がいいだろうなどと考えていると「一つずつ詰めましょうよ」とその乗客が言ったから、その言葉に従い席を一つ左に移動した。

 というのも「D席」が空いていたからで、「C席」に座っている乗客は私達と同じツアーに参加した人だったし、自分の席は「G」と訴えた客も同じツアー参加者だったから、席を交換したと思えばそれでいい。どちらにしろ中4席の中での移動だからDもFも変わりはしないと移動に同意したのだった。

 離陸してしばらくすると機内食が配られ、その後、新聞に目を通していたが、先程の件が気になった。どう考えても6列目の席は「F」になるはずなのに、なぜ、あの乗客は「G」だと思ったのか。「D」の文字を「G」と見誤るだろうか。第一、クルーが6列目を「G」と勘違いして座らせることからして変だ。
 そう思い出すとますます分からなくなり、通路に出て座席番号を確かめたかったが中席に座っているため通路に出るには隣の人に退いてもらわなければならない。席番確認のためだけに隣の人に迷惑をかけるのも気が引けるし、などと考えながら、窓側の席上方を見てみた。
 そこには当然、「A、B」と書かれているはずだった。が、なんと目にした文字は「A、C」。「B」が抜けていたのだ。となると中席4列は「D、E、F、G」の順になるではないか。「F」席は6列目と思っていた私が間違っていたことに、その時初めて気付いた。

 でも、なぜ「A」の次が「C」なのか疑問が解けない。そこで今度は反対側の窓側2列の番号を見て、さらに驚いた。そこには「H、K」と記されているではないか。
 これって、どういうこと。こんな番号の付け方をされれば間違って当たり前。それ以上に分からないのは「H、K」だ。中2文字も欠けている。
 こうなればまるでパズルだ。謎解きをしなければならない。幸い、この機には日本人クルーが2人乗務しているとアナウンスしていたから、日本人クルーに来てくれるように頼んだ。
 「普通、席はアルファベット順になっていると思いますが、窓側2列はA、CでBが抜けているのはなぜですか」
「航空会社によっても違うようですが、エバーエアーはA、Cの順になっていることが多いですね。BとDの発音が似ているから混同を防ぐためにエバーエアーはBを外したと聞いています。I、JがなくH、Kになっている理由までは分かりませんが」
「そうなんですか、航空会社によっても違うんですか」
「大型機の場合はエバーエアーでもAから順に並んでいますが、中型機はBを抜いていますね、エバーエアーは」

 国際線に限ったことではなく、最近は飛行機そのものに乗る機会があまりないから気付かなかったが、国内線でもアルファベット順になってなかったのだろうか。それとも国内航空会社はアルファベット順の配列で、国外航空会社は1文字、2文字が抜け落ちているものなのか。もし、そうだとすれば、これからはしっかり文字を確認して乗らなければならない。
 年齢と共に認知機能が衰えてきたところにもって、思い込み意識の方は強まっているから、先のトイレのようなことも起きる。面倒くさがらず表記はきちんと確認しなければならないと自戒した次第だが、その時なぜか、信号無視で交差点に入って事故を起こした年配女性のことが頭に浮かんだ。「人がいなかったから、そのまま車を進めた」と言っていたが、止まるのが面倒くさくてアクセルから足を離さなかったのだろうか。
 もし、そうだとすれば恐ろしいことだが、歳を取るとつい色んなことが面倒くさくなるのは事実。今まで以上に注意しなければと自覚・自戒したこの頃だった。


パーソナル編集長


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