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ゴーン氏逮捕に関する読者のコメント


 今号は「No.633:ゴーン氏勾留で変わるかもしれない司法の古い体質。」に対して読者の清水肇さん(一般社団法人NPERC-J)から届いたコメントをお送りします。

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栗野さん

今年もよろしくお願いします。
タイトルで私の疑問が少し理解が進むかとも思ったのですが。
次回に繋がりますか?期待してます。

ゴーン氏のことは良くわかりませんが、私事でエネルギー関係の議論をしてる関係で
現在内燃機関自動車の電力化(EV)問題(環境、温暖化、持続的発展などとの関係)
に取り組んでいて、日産の技術的な内情や欧米(フランス)との関係、EV化のもたら
す産業構造(100年に一度の自動車の革命の時代ともいわれてます)への影響などにも
影響が有りそうで関心が有ります。

経営者として技術を経営的にまとめ上げたり、切り開いたことはそれなりに実績と思
いますが。ただ、一度流れが変わると人の見方はふらつくので、怖いです。
残念ながら公私の話はもう少し注意深く見たいなと。

ただ、司法の問題は、少々わからない点が有ります。
・何故弁護士との接点がない
・相当緻密な経営者なら、証拠保全や隠滅に対して司法も警戒もありそう。
・ただ、本人の認否の問題をどこまで引っ張れ、裁判の役割との線引き。
・籠池氏のような政治的な扱い臭さとも言えるが、心象としては何となく叩けば埃り
が出そうな印象を持たれたら、なにかしら白状するまで保釈の機会を掴むことの難し
さが有るのか? 最悪のスパイラルに入ったら白状するまで拘束が日本の司法の問題
点とも聞きましたが。本質がどこかがわかりません。
・しかし、証拠隠滅と疑われたら反論しても平行線の構図になるので、(権力を持つ
側との)対決構図とすると正当に保釈されるにはどうすればいいか
・鈴木議員(北海道の)が結構長く入っていたとか。これも彼の知能犯的行動は胡散
臭さを連想。
・欧米は、証拠隠滅、罪状を認めない者に対して、拘留期間の妥当性の判断はどうし
ているのか、それが今回の栗野さんの問題提起ですか?

新聞が冤罪事件が起きるたびに、司法の冤罪の温床と言う話とは全く別の世界なのか
同じなのか。
そういったレベルの低い話ですが。栗野さん明快な説明を期待してます。

何故かというと、自分が正しいとの姿勢で対峙したとしたら(追い込まれたら)、ど
う反論、抵抗できるか。ましてや、悪意をもって追い込まれたらどうだろうか。
話は大げさですが、この頃ユビキタスコンピュータとか言われますが、センサー、カ
メラ情報で人を監視することは難しくなく、「中国のように批判をしたらすぐカメラ
がセットされた」と言う時代はいつでも他人事では無くなるでしょう。
渋谷のハローインでトラックを倒して暴れた若者があっという間につかまる時代で、
あれは良いことにITが使われましたが手段の高度化であって、使い方次第で如何様
な目的への転用も出来る気もします。


弁護士との接点は普通はあるような気がしてるのですが、何故ないのでしょうか。
厚生労働省の名前忘れましたが、女性の次官だった人の様な姿勢で普通の人は信念を
皆貫けるのか。裁判を信じることが出来ればいいですが、それとて収監されると心情
はいかばかりかと。教養学部で法律をかじっただけでさっぱりわかりませんし、「悪
いことしてなければ何も恐れることは何のヨ!」と子供の頃から良い子なら悪い人と
は無関係と言う考えを能天気に親の口癖を聞いて育っただけなので。
この年で、まったくお恥ずかしいです。

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 今回は難しい課題を戴きました。私の力量では「明快な説明」というわけにはいきませんが、今回のゴーン氏逮捕・勾留の問題は起訴内容に関する問題と長期身柄拘束という2つを分けて考える必要があると思います。

 8日に行われた裁判所による勾留開示時にゴーン氏自らが出廷して意見陳述した全文を読みました(全文は産経新聞が掲載)が、大半が自分の業績を誇示する、それもかなり自分に都合がいい解釈をしていると感じました。

 裁判員裁判制度が導入され、裁判に一般人の感覚が入れられるような方向が模索されています(ゴーン氏の裁判は裁判員裁判ではない)が、実態はまだまだでやはり法律論で闘われるため、起訴されると被疑者にはかなり不利なのが現状だと思います。

 私が一つ懸念しているのは「公判前整理手続」です。目的は裁判の長期化を防ぐということと、公判段階でないと検察が持っている証拠資料を見せないのは弁護側に不利だから、公判前に裁判で争う論点を整理し、検察が起訴に至った証拠を開示させることです。
 ただ、これが必ずしも被告、弁護側に有利に働くとは限らない。ある部分では逆に不利に働いているということです。

 例えば今回の場合、公判前整理手続そのものが長期化しそうな感じです。その間、被告(今回の場合はゴーン氏)は第1回公判が開かれるまで勾留される可能性が高いと思います。
 もちろん、その間に弁護士は保釈申請をするでしょうが、検察は裁判所に保釈を認めないように抗告するでしょう。それらを裁判所がどう判断するかですが、感覚では未決勾留がある程度に渡って続きそうだと思います。

 これは被告にとって非常に不利です。裁判で有期刑が確定された場合、当然、未決勾留期間は有期刑日数に組み込まれ、その日数分差し引かれます。仮に3年実刑判決が出たとすれば、3年から未決勾留期間の日数を差し引いた日数が刑期になるということです。
 だが、これは実刑判決の先取りですから、もし無罪判決が出た場合はどうなるのか。有罪でも執行猶予付きの場合はどうなるのか。
 訴訟を起こせばなにがしかの補償があるかもしれませんが、補償金額と訴訟を起こした場合の弁護士費用は釣り合うのか合わないのか。
 それよりなにより逮捕後の身柄拘束で仕事を失ったりした場合の金銭的、精神的苦痛は大きく、補償金額云々の話ではないでしょう。実際、私達の時代でも大学の授業に出たり試験が受けられなくて留年、退学を余儀なくされた者は結構いました。

>・何故弁護士との接点がない
>・相当緻密な経営者なら、証拠保全や隠滅に対して司法も警戒もありそう。

 逮捕された後、元特捜検事で現弁護士を雇っていますから弁護士とは何度か接見し、打ち合わせをしているはずです。
 次の証拠隠滅関係についてはゴーン氏が多少甘く見ていたのではないでしょうか。使い込み事件でも最初は用心するものですが、1、2年発覚しないと段々警戒心も緩み、着服金額も大きくなるようです。
 ゴーン氏の場合も20年近くに渡って権力を独裁し、周辺にイエスマンしか置いてなければ警戒心は緩むものです。
 もう1点は腹心の代表取締役が弁護士資格を持っている人間でしたから、その面でも安心していたのではないでしょうか。
 日本と欧米の司法や制度等の違いに対しても甘く考えていたかも分かりません。

 ゴーン氏の「罪」が「ハメられた」ものか、そうでないのかは今後裁判で明らかにされていくと思いますが、自国以外で受ける裁判は一般論で言えば不利です。言葉、風習の問題、先の見通し不透明ということなどから不安だと思います。これも一般論ですが、独裁者ほど1人になると不安になるものです。

 最後に冤罪に関して。
年明け8日の新聞記事に次のような記事が載りました。
「強姦罪などで服役中に被害者の証言がうそと分かり、再審無罪が確定した大阪市内の男性(75)と妻が、不十分な捜査や裁判所の誤判で精神的な損害を受けたとして、国と大阪府に計約1億4000万円の国家賠償を求めた訴訟」の判決が出たというものです。
 地裁判決は請求棄却です。理由は「通常要求される捜査を怠ったとまでは言えない」。これは納得できないでしょう。無実の罪を着せられ懲役12年を言い渡され服役中に、被害女性が「証言は嘘だった」と弁護士に告白したというものです。
 徹底した捜査を怠ったと指弾されても仕方ないと思います。裁判所も被害者証言を一方的に鵜呑みにしたとの誹(そし)りも免れないでしょう。だが、裁判所は「通常要求される捜査を怠ったとまでは言えない」と、検察、裁判所に責任はないと言ったわけです。当然、控訴したようですが。

 裁判は3権分離というのが建前です。だが、検察と裁判所が非常に近い関係にあるのは事実でしょう。そして時の政治権力とも。そしてメディアも。近年、メディアは警察発表の受け売り報道ばかりです。そのため逮捕された直後から被疑者は犯人扱いです。誰も彼も、どこもかしこもが多角的な視点を失い、違いを認めない社会になってきているのが怖いです。
 明快な説明どころか隔靴掻痒の説明じみたものになってしまいました。



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