帝国が消滅し、世界は王国の時代に(1)
〜帝国アメリカ崩壊の始まり


栗野的視点(No.892)                   2026年7月31日
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帝国が消滅し、世界は王国の時代に
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 時代の歯車が逆回転している−−。
かつて地球上には帝国と呼ばれる国が存在した時代があった。
だが、それらはやがて滅び、今はいずれの帝国も地球上には存在していない。
 最後に存在したのはアメリカ帝国であり、1970年代〜1980年代に最も栄えたが、それにはソビエト連邦の存在が大きかった。

帝国アメリカ崩壊の始まり

 第2次世界大戦後、中国、北朝鮮で共産党政権が誕生し、ベトナム、カンボジア、ラオスなどのアジア諸国で反政府勢力が勢いを増しつつあった。そしてそれらを主導しているのが共産党あるいは共産党にシンパシーを感じる勢力で、アジア諸国がドミノ倒しで共産圏に変わりかねない情勢だった。
 実際、南北に分断していたベトナムはアメリカのテコ入れにも関わらず北ベトナムの攻勢の前に南ベトナム政権は崩壊し、1976年に南北ベトナムが統一してベトナム社会主義共和国が誕生した。

 ベトナム戦争が始まった当初、アメリカの全面支援を受けた南ベトナム政権が崩壊すると思った人は少なかったに違いない。それは南北ベトナム政権の戦いというより実質的には北ベトナム対アメリカ帝国主義の戦いだったからで、アメリカの圧倒的に豊富な物量と近代兵器を前に、竹やりは言い過ぎにしても旧式武器で戦いを挑むようなものだから、アメリカが本気を出せば一捻りだぐらいに考えられていた。
 だが、そうはならなかった。

 地上軍の投入と、空から降り注ぐ爆撃によっても屈せられなかった北ベトナム軍と南ベトナム解放戦線のゲリラ戦法、さらには国内外の反ベトナム戦争の運動の前に南ベトナム政権は崩壊したわけだが、それには前例があった。
 毛沢東が主導した中国共産党の「農村が都市を包囲する」戦略の下、アメリカの支援を受けた蒋介石軍に対し物資で劣る共産党軍が勝利を収め中華人民共和国を成立した先例があり、北ベトナムと南ベトナム解放戦線の戦いも「農村が都市を包囲する」戦いといえた。

 これはソビエト連邦(ソ連)を中心とした「正統マルクス主義」から見ればマルクス主義とは言えなかった。
 マルクスが唱えた共産主義革命はブルジョア革命から都市労働者(プロレタリアート)が都市で起こす革命運動を経て社会主義、共産主義へと移行する過程を辿るものであり、ブルジョア革命すら行われていない封建主義社会で、革命主体たる都市労働者が「熟成」されてない段階での農民蜂起は社会主義革命ではなく、それ以前の「農民革命」と考えられたからである。

 まあ、それはともかく中国、ベトナムに続きアジア諸国で左翼政権がドミノ倒しのように誕生しかねないことに危機感を募らせたのがアメリカで、ベトナムの共産化を止めることができなかったのは帝国アメリカの崩壊の始まりだった。
                          (2)に続く


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