デル株式会社

 


茶番劇のジャニーズ事務所会見


栗野的視点(No.808)                   2023年9月9日
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茶番劇のジャニーズ事務所会見
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 「人は見た目が90%」という本があったのを思い出した。ビジュアル社会、映像社会になって、人は見た目を重視するようになり、見た目で判断する(させられる)ようになった。
 その結果、外見ばかりを気にする人が増え、外見で騙される人が増えた。言い換えれば本質を見抜く力を失ってきたということだ。

 今回のジャニーズ事務所の会見はそのことをうまく逆手に取り、茶番劇を実に上手に演出した。
 メディアも視聴者も長年に渡り性加害を行った(一部にはそのためにジャニー氏が会社を作ったと指摘した内容もあった)。ジャニー喜多川氏の姪の藤島ジュリー景子氏が9月5日で社長を辞任して7日に会見を開いたのも、同じく同日副社長を辞任した人物を会見に同席させなかったのも実によく練られた戦術で危機管理マネジメントの専門家によるレクチャーを何度も繰り返していたように思える。

 会見に同席した藤島ジュリー景子、東山紀之、井ノ原快彦の各氏が揃ってメガネをかけていたのも専門家のアドバイスによるものだろう。メガネにもよるが、メガネをかけると一見誠実そうに見える。
 第三者委員会の提言から日数がかかっての会見はそういうことの準備にかけた日数だろう。どこまで認めるのか、社名を残すのか残さないのか、前社長の退任後の扱いをどうするのか等々。

 その結果が代表取締役社長は辞任したものの代表取締役には留まる。社名変更はせず、そのまま継続して使用するというもの。
 呆れてモノが言えない。代表取締役社長辞任で取締役会長に就くという例はよく見るが、代表取締役社長を辞任した後も代表権を持ったまま取締役に留まるという例は知らない。しかも株を100%持ったままなのだから、普通に考えて何かが変わると思う人はいないだろう。いるとすれば余程組織に疎い人か、余程のお人好しだろう。

 会見で東山新社長に対し突っ込んだ質問があったようだが、そんなことは欧米では当たり前のことで、それをとやかく言う方の気が知れない。
 気が知れないといえばメディアの対応だ。いままで散々ジャニーズ事務所に忖度し、ジャニー氏の性加害を知りながら、そのことに触れず頬かむりしてきたにも拘らず、そのことに対する猛省がなされず、通り一遍の反省で済ませているのをみれば、この国のメディアは今後も変わらないだろうと思ってしまう。

 中でも問題なのはテレビ朝日。昼前に「大下容子ワイド!スクランブル」があるが、その中で大下容子アナウンサーはつぎのようにコメントした。
 「自らを厳しく律してエンターテインメントを追及してきた東山さんがプレーヤーを降りるという決断は、非常につらいものだったんではないかなと思います」
 えっ、社長就任だから即芸能活動を辞め今後の対応などに全力を集中すべきだろうと思ったが、年内、芸能活動をしながらでも出来る社長業って、代表権を持った社長なのかと思ってしまうが、そういうことにも触れず「非常につらいものだったんではないか」と同情する報道はちょっと考えられない、というかテレビ朝日とジャニーズ事務所のズブズブの関係を逆に窺わせる。

「メディアとジャニーズ事務所は距離感はどうだったのかな、というところはやはり私も思っています。(中略)やはり一定の緊張感をもって接していかなければならないと思いますし、そのことは今後も私たちもずっと問われ続けることではないかなと思っています」

 どこか他人事っぽく聞こえるのは私だけか。

 個人的には「ワイド!スクランブル」は見ない。理由は彼女は番組MCなのに、自分の意見を言った後に「と思いますが、どう思われますか」とゲストで呼んだ専門家に話を振るが、それはMCとしては違うだろうと思うからだ。

 大下容子氏は役員待遇のアナウンサーである。だとすればTV局を代表し、今までジャニーズ事務所に忖度し、この問題を取り上げて来なかった自分達にこそ責任がある。そのことをまずもって視聴者の皆さんに謝罪します、と謝るべきだろう。

 茶番劇だらけの会見と報道ではジャニーズ事務所もメディアも何も変わらないだろう。


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