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栗野的視点(No.876) 2025年11月21日
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岡山、鳥取、兵庫で紅葉三昧の日々
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今年の秋は短く、暖かい日が続いたと思えば急に冷え込んだり、また少し気温が上昇したりと目まぐるしく変化するため洋服の調整に戸惑い、体調の維持に苦戦している人も多いのではないだろうか。
だが悪いことばかりではない。樹々が急いで冬支度に入り、各地で一気に紅葉が進み、例年なら紅葉前線が徐々に南下してくるところだが、今年はほぼ全国同時と言っていい程一斉に紅葉が進んでいる。
そうなると忙しいのが紅葉の撮影。「3日見ぬ間の桜かな」という言葉があるが、今年は「3日見ぬ間の紅葉かな」という程枯れて散りはしないが、時間差があまりなく紅葉していくものだから、毎日、電話で状況を尋ねながら岡山、鳥取、兵庫の各県に出かけている。
同じ場所に毎回出かけるより、できれば新しい場所に行きたいと思うから場所選びもそれなりに大変。
紅葉が見られる場所は寺院などに多く、訪れたついでに住職や宮司に寺や神社の成り立ちなどを尋ねたりするから滞在時間が延びる。
1か所で大体2時間を要しているが、そのお陰でいろんなことが分かり、大いに助かっている。
例えば岡山県北部、真庭市の木山寺を訪れた時、境内に狐像が設置されていたので疑問に感じ「狐はお稲荷さんの使いで、お稲荷さんは神社ですよね。なぜ寺に神社の狐が飾られているのですか」と尋ねてしまう。
すると「神仏混合の名残りで、昔は木山神社も一緒に祀られていましたが、社寺分離で神社は少し麓の方に移されました。ただ奥宮だけはまだ当時のまま現在地に残されています」「神仏混合の名残りを残している寺は珍しい、と言われます」と説明された。
明治政府による廃仏毀釈で地方の伝統ある多くの寺が壊されていった。中国の文化大革命時に多くの文化財が壊されたのに似ている。
木山寺には紅葉の写真を撮るために真庭の山奥にまで行ったのだったが、寺の説明を聞き神仏混合時の神社の方にも興味が湧き、距離が離れてなく近いと分かったので、ついでに寄ってみた。
すると、ここには木山寺と同じく牛頭天王(ごずてんのう)が祀られていた。そのことからも木山寺と木山神社が昔は神仏習合で存在していたことが窺えた。
牛頭天王は京都・八坂神社の祭神として知られているが、疫病を防ぐ神であり、薬師如来が本地仏(ほんじぶつ、本体)であり、スサノオノミコト(素戔嗚尊)と同体というから面白いというか、ややこしい。
平たく言えば神と仏に区別はなく同体として信仰されていたが、明治になると天皇を中心とする勢力が徳川幕府の仏教中心の思想を廃し、天皇を頂点にした神道中心の思想で統治するためスサノオノミコトと牛頭天王を分け、スサノオノミコトを頂点としたのだから神話も政治に利用されてきた歴史が分かる。
兵庫県宍粟市の長源寺に紅葉の写真を撮りに行った時は中年の住職に寺の歴史を尋ねたついでに檀家数の変化と寺経営について尋ねたりと、何にでも興味を示すものだから、どこに行っても滞在時間が延びる。
まあ、それはさておき、この秋の紅葉はどこもとてもきれいで、それを写真に撮り、ブログ・栗野的風景にアップしているので、ご一見頂ければと思います。

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