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未来工業に見る、社員のやる気を引き出す経営(2)
〜社員のモチベーションアップの方法


社員のモチベーションアップの方法

 景気が悪いとケチケチ経営に走り、ボールペン1本、コピー用紙1枚にうるさく注意する会社がある。挙句が人件費のカット、抑制だ。これでは社員のモチベーションは下がるばかり。モチベーションが下がれば生産性も下がる。生産性が下がるから会社の利益も下がる、とまさに負のスパイラルに陥る。
 もちろん、ケチぶりでは同社も人後に落ちない。消灯の話は冒頭に紹介した。コピー用紙は他社から届いた郵便物の中に入っている挨拶状等の再利用と、そのケチぶりは徹底している。
 これだけならどこにでもあるケチケチ経営で、社員のモチベーションは下がる。ところが、同社が他と違うのは勤務時間の短さ、年間連続休暇の多さ、会社全額負担の社員海外旅行、そして「まあまあの給料」。
 800人近い社員は全員正社員で、製造業にありがちな派遣社員、パート社員はゼロだという。要は社員をコスト扱いしてないということだ。これこそがモチベーションアップの源泉といえる。

 モチベーションアップといえば山田氏が面白いこと(注目すべきこと)を言っていた。恐らく大半の出席者の耳には届かなかったと思うが。
「自分の金で社長がモノを買う。それが社員のモチベーションアップになる」(山田相談役)
 10年前まで中小企業の経営者ですら次のようによく言うのを耳にした。
「日本の経営者は給料が低すぎる。従業員の2〜3倍しか取ってない。アメリカの経営者とは比べものにならない」
 しかし、日本の経営者は家賃から個人的な飲み食いまでを含めほとんど会社持ちだ。会社の経費で落としている。大王製紙の場合はちょっと異常だとしても、財布を一緒にしているという意味では同じようなものだ。
「例えば車にしても皆さん会社の金で買っているでしょ。そういうことを社員は見ているんですよ」(山田相談役)
 まさにその通りで、たまに社員と飲み食いしても会社が宛名の領収書をもらっているようでは、社員の方も有り難味を感ずるどころか「所詮は俺たちが稼いだ金ではないか」と思うのが関の山だろう。
 経営者にとって耳の痛い話だろうが、この部分を右から左に抜けさせて、「今日の話はためになった」と言うようでは、何を聞いていたのかと思わざるを得ない。だが、案外人の話を聞いていない人は多い、と最近感じることが多々ある。

 最後に「いい話だったが、うちでは実行できないな」ということではなく、どこの会社でも、誰でも明日から実行できる話を一つ。
 制服と提案制度に関するもので、同社は制服を貸与しない代わりに夏と冬の年2回、現金を直接渡しているという。ここで重要なのは「現金の直接渡し」ということだ。
 提案制度を導入している企業は多いだろう。提案が採用されればいくらとか、年間最多提出者にはいくらという具合に賞金を出しているのは同社も同じだ。違うのは提案を出しさえすれば、内容に関係なく500円を出していること。
 これは一見ムダ金に思えるが、やはりモチベーションアップに効果を上げている。
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エディー・バウアー・ジャパン


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