三菱自動車が消える日(3)
一気に進むか業界再編成


今後、一気に進むか業界再編成

 厚情必ずしも情ならず、という言葉がある。もし2004年段階で三菱グループが手を差し伸べていなければ、同社の企業体質は間違いなく変わっていただろう。なぜなら、どこかのメーカーに吸収合併されていただろうからだ。
 結局、三菱グループは三菱自動車を15年近く延命させただけで、その間何も変えられなかった。いや、むしろ三菱の企業体質を一層悪くさせただけだった。25年前から続けられていた燃費データの不正はその後も改まるどころか、さらに巧妙になり続けられていたわけで、もはや彼らの中では不正を働いているという意識すらなかったに違いない。

 ここまで書いた途中、日産自動車が三菱に2,000億円超の融資を行い、三菱は事実上、日産の傘下に入るというニュースが飛び込んできた。別に驚きはしなかったが、どこかに吸収合併されるにしてももう少し時間がかかるだろうと考えていたが、日産の動きは随分早かった。
 とはいえ日産が欲しいのは軽自動車の技術だけだろうから、普通車部門はいずれ解体の運命にある。ただ、これで三菱が生き残れると考えたとすればそれは大いなる勘違いだろう。
 25年もの長きに渡って続けられてきた不正は、それが常態化しているということであり、彼らにとってはそれこそが日常。早い話、それが体質になっているわけで、この体質を変えるのはそう簡単ではないだろう。

 体質を変える唯一の方法は人員の総入れ替えか、企業解体しかない。日産にしても毒まで喰う腹はないだろうが、シャープのいいとこ取りをする鴻海工業ほどの強かさが日産にあるかどうか。カルロス・ゴーン氏ならやるかもと思わないわけでもないが、それをするには日産の動きが少し速すぎたように感じるが、どうだろう。

 今回の問題は三菱だけに止まるのかどうかだ。以前から言われているように国内の自動車メーカー数は多すぎる。乗用車だけでもトヨタ、日産、ホンダ、マツダ、三菱、富士重工、スズキ、ダイハツの各メーカーがあり、それぞれに普通車だけでなく軽自動車も造っている。
 すでに国内市場は飽和状態で、この先拡大する見込みはないどころか、各種調査によっても明らかなように若者の車離れは一段と進んでいる。もはや可能性があるのは発展途上国のみだが、その市場に群がっているのは日本メーカーだけでなく世界の車メーカーだから、早晩そこも飽和状態になる。それが分かりつつ、世界中の各メーカーが車を作り続けているのだから、これは異常な状態だろう。
 いずれ世界中で生産台数の削減に動くか、メーカー数が淘汰されるしかない。その前段として、まず国内メーカー間の合併が進む。
 期せずして今回の三菱がそのトリガーになったようだが、これを機に業界の再編成が一気に進むかどうかーー。


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