年々巧妙になる詐欺メール

　西山ファームの投資詐欺が20代をターゲットにしていたのに対し、詐欺メールは「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」同様、中高年をターゲットにしていると言える。
　迷惑メールの類は随分前から存在していたがコロナ禍で激増した。それと同時に質的変化を遂げ、一見どころか再読みしても詐欺メールと見分けられない程巧妙になってきた。まるで次から次に変異するウイルスのように、バージョンアップしているからやっかいだ。

　ちょっと前までは怪しげなメールの発信元はYahooメールが圧倒的に多かったが、この頃はアマゾン、楽天、イオン、メルカリ、大手カード会社、都市銀行、地方銀行などありとあらゆるところの名を語りメールが届く。
　多いのは支払いに関するものや「アカウント無効」の知らせ、「利用金額」の確認などもっともらしいものから、「詐欺メールにご注意ください」とご丁寧に注意書きを記して送ってくるものまである。

　ここまでくると「アドバイス」に従いそうにかもしれないが、いずれも詐欺メールである。困るのは金融機関からのメール。最初の頃は三菱UFJ銀行などの都市銀行からだったが、この頃は地方銀行からも届くようになってきた。
　取り引きがない都市銀行から突然届けば不審に思い注意もするが、中小企業でも都市銀行と取り引きしているところもあるだろうし、つい乗せられてしまう危険性は高いだろう。かく言う私にしても福岡銀行や中国銀行など取り引きがある地方銀行からメールが届いた時は一瞬本物かと思ってしまった。

　詐欺メールに注意しなければと頭で思っていても、実際に下記のようなメールが届くと、本物メールと思い指示に従うことがあるので、よくよく注意して欲しい。
　詐欺メールの内容を一部参考までに。
＜お客様の【三菱UFJ銀行】口座・通帳一時利用停止中、再開のお手続きの設定してください。
あなたの三菱UFJ口座にはリスクが検出されましたので、口座の資金安全を確保するために、-時的にこの口座を制限します。
正常な利用に影響しないように、ご自分で制限を解除してください。
　下記のURLをクリックしてログインを解除してください。＞

＜いつもメルカリをご利用いただきありがとうございます。
すぐに5000円のポイントを受け取ります。（この後にURLが記載）＞

＜AEON CARDをご利用いただき、誠にありがとうございます。
このたび、お客さまのお取引につきまして、第三者による不正使用の可能性を検知したため・一時的にお取引をお止めしました。
【取引年月日]:2021/00/00（ここには実際の日付が入っている）
【お問合せ番号]:5747-4758-7757-9085

ご利用確認はこちら
ご本人さまのご利用でない場合には、今後、安全にカードをご利用いただくため、カードの差替・え等お手続きが必要となります。お手数ですが、下記
【本メール専用ダイヤル】へお電話くださいますようお願いたします。＞

　これなどは注意してよく見れば「欠字」があったり、妙な箇所に「･」が入っていたりするので不審と気づくだろうが、一読したぐらいでは見逃す可能性もあるので注意を。
　さらに次のような注意書きまで付いていれば、なおのこと本物メールと勘違いする可能性は高いだろう。

＜不正取引の監視体制について
(1)弊社ではお客さまが犯罪に巻き込まれないよう、お客さまのカードに不審なお取引がないか24時間365日モニタリング(不正使用の監視)を行っております。
(2)お取引の監視により不正取引の傾向と合致したお取引を保留のうえ、本メールを配信しております。
(3)弊社のカード不正使用に対する取組みについては、詳しくは弊社ホームページをご覧ください。＞

＜重要なお知らせ
　今回は、カードが期限切れになってるか、請求先住所が変更されたなど、さまざまな理由でカードの情報を更新できませんでした。アカウント情報の一部が誤っている故に、お客様のアカウントを維持するため amazom アカウントの 情報を確認する必要があります。下からアカウントをログインし、情報を更新してください。
　ご支払い方法を更新はこちら
　(直接アクセスできない場合は、手動でブラウザにコピーして開いてください)

　なお、24時間以内にご確認がない場合、誠に申し訳ございません、お客様の安全の為、アカウントの利用制限をさせていただきますので、予めご了承ください。アカウントに登録のeメールアドレスにアクセスできない場合お問い合わせ：amazomカスタマーサービス。＞

　アマゾンをよく利用する人はつい自分のアカウントにログインし情報確認をしたり、記載されたカスタマーサービスに電話しようと思うのではないだろうか。

慌てず落ち着いて確認を

　上記のようなメールが来ると驚くかもしれないが、慌てずに、ゆっくり確認することをお勧めする。
　確認って、何を、どうするんだと思われるかも知れないが、次の順序で。
１．まず発信元のメールアドレスを見ること。
　例えばアマゾンからの通知なら「@」の右が「amazon.co.jp」かどうか。もし、そうなっていなければ、それは詐欺メールだから、そのまま削除するか、「迷惑メール」フォルダーに移動させればいい。
　受信したメールを「迷惑メール」だとメールソフトに何度か教えていけば、メールソフトが学習して「受信」フォルダーではなく「迷惑メール」フォルダーに自動的に分類、移動させてくれるようになる。

２．やっかいなのは発信元メールアドレスが「info@amazon.co.jp」と表示されている場合。
　その場合は送られてきたメール内のアドレスや「確認はこちら」みたいに表示されている箇所をクリックしないこと。
　次にブラウザーでアマゾンを検索してアマゾンのホームページを開き、そこで確認すること。
　いずれにしろ慌てず、落ち着いて、ゆっくり一つひとつ確認していくことが詐欺メールに引っかからないコツ。

　余談だがもう７、８年前になるか、学生時代の友から電話がかかってきて、PCが動かなくなったと言う。起動はするが、ＨＰが開けず○○をしろというメッセージが出る。メールがよく来るのは君（栗野）のメルマガしかないから、と暗に私のメールでウイルスに感染したような口ぶりだった。
　私の方は有料のセキュリティソフトを入れて受発信の際にチェックする仕組みになっているから、私のメールで感染することはまずない。そこで尋ねるとセキュリティソフトは入れていなかったし、エッチ系のＨＰを見た覚えはあると言うではないか。
　それならまずそちらを疑うべきなのに、あろことか私に嫌疑をかけてきたのだ。ＰＣに詳しくないようで電話でチェックを指示してもよく理解できないような風だったから、岡山の駅前にビックカメラがあるからそこに持ち込め。無料で修理してくれるか有料になるか分からないが、それが一番手っ取り早いとアドバイスした。
　他人を疑う人間は概して事後報告はしないが彼もそうだった。そこで折を見てこちららから確認するとビックカメラで直してくれたということだった。
　こういうタイプが最も詐欺メールに引っかかりやすい。せめて本を読むなりして最低限の知識を持つ努力はしておく必要があるだろう。

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