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ブランド戦略の成否が「お得感」の演出を左右する(4)


経営者はもっと脇目を振れ

 メードインジャパンにブランド力があった時代と今は何が違うのか。
例えて言うと、当時はアメリカという図抜けて優秀な人間とその他大勢の世界。トップとその他大勢の間には雲泥の開きがあった。だから皆、トップのアメリカに追い付こうと必死で頑張ったし、頑張れた。
 マラソンでいうならトップランナーと2番手、3番手の間に距離があり、縦1列になって走っていたのがこの時代だ。
 対して今は数人の先頭集団が全体を引っ張り、そのすぐ後ろに2番手集団、3番手集団が近接し、団子状になり走っている世界。先頭集団と2番手集団との間に距離の開きはあまりなく、2番手集団からいつ、誰が先頭集団に上がってきてもおかしくないのが今だ。

 こういう時代には脇目も振らず、与えられた仕事を忠実にこなしているだけでは先頭集団から脱落してしまう。むしろ前後左右に脇目を振り、ライバルの動きを確認しながら走ることが大事である。
 要は基礎体力は似てきたわけで、その上、走りのテクニックもすでに真似されている。そんな時にただ黙々と走っているだけでは負けるのは目に見えている。

 例え話はこのくらいにしておこう。
早い話が時代認識が必要だということだ。
いったい今の時代はどういう時代なのか。
そのなかで自らはどういう位置を占めているのか、占めようとしているのか。
今後どの分野に注力するのか。
 そういう戦略戦術的な発想を持つことが重要で、いかに高い技術力を持っていても、発注された目先の仕事をきちんとこなしていくだけでは、もう難しい。
むしろ極論すれば、ある日突然、仕事がなくなる可能性があるし、そうなったらどうする。
 これが架空の話でないことはリーマンショックの時に多かれ少なかれ経験し、分かっているはずだ。

 時代が変われば、それまでの長所が弱点になる。
脇目を振らない一所懸命さは中小製造業の長所だったが、いまは逆に弱点になっている。
視野が狭くなり、異なった発想を妨げているからだ。
 実は先日、ある場所で第一施設工業の篠原統社長に話をしてもらったが、その時興味深いことを言われていた。
「できるだけ異業種と交流する。今の自分の仕事と全く関係がない、違う分野のものを見ることですよ。そして、それが自分の仕事とどう繋げられるかを考えることです」と。

 私は日本の製造業、とりわけ中小企業に頑張って欲しいし、また頑張れるはずと思い、1985年のプラザ合意後の円高・海外移転・国内産業空洞化と言われた頃から、中小企業のために活動を続けてきたつもりである。
 だが、製造業の体質がなかなか変わらないことを痛感してきた。しかし、変わらなければ生き残っていけないはずなのに。
 他にもいろいろ課題があるが、それはまた別の機会に譲りたい。



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