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貧困化する政治(家)の恐ろしさ(2)


ミニトランプが激増傾向、日本でも

 なんとも嫌な感じがするのは今村岳司・兵庫県西宮市長の方だ。2016年という年は彼のような政治家が世界で出現した年だった。
 今村市長の言動をよく知らない人のために、まず直近の言動から紹介しておく。
2016年11月27日に西宮市立子育て総合センターで開かれた「中高生3万人の夢プロジェクト」で以下のように発言。
「(中高生の頃に自分達の居場所は)授業を抜け出してタバコが吸えて楽器が弾けるところだった」
「教室の合鍵を作り、面白くない授業を抜け出して、たばこを吸い、マージャンをした」
「見回りのガードマンにはエロ本やお酒を渡して味方に付けた」

 不良の集まりで不良の先輩が後輩に自慢話をしているのではない。西宮市主催の「市内に在住・在学の中学生・高校生約3万人のやる気・社会に飛び出す力を支援する」プロジェクトの第一弾として<中学生・高校生の「やりたいこと」を聴く中高生ミーティング>の場で今村市長が語った自身の体験談である。
 市長としての自覚など微塵も感じられない。よくぞこういう人物が市長になれたものだと思うが、この件で市に届いた抗議は100件と少ない。
 この人物(今村市長のことだが)、12月8日の議会、一般質問で女性市議から先の発言を批判されると、トランプ氏を見習ってかどうかブログで「ピンクのダサいスーツに黒縁眼鏡で『お下品ザマス!』って言っている女教師みたい」「キレイゴトは彼らを子供扱いしている。敬意を欠いている」と逆批判している。

 トランプ氏と似ているのはインターネットで意見を表明するところだけではない。トランプ氏に負けず劣らずメディアが嫌いだ。といっても嫌いなのは自分を批判するメディアだけだが。その点もトランプ氏と似ている。
 2015年1月25日の定例会見で、市が「偏向」とみなす報道をした報道機関に抗議し、改善されない場合はその後の取材を一切拒否すると表明したのだ。

 問題は2つある。1つは自分に都合のいい情報しか発信させないという情報操作であり、もう一つは「偏向」の基準が明らかにされてない点だ。
 これは1とも関連することだが、市長がある報道を偏向と思えば、それが偏向になり、以後その報道機関は一切の取材を拒否されるということだ。
 何より怖いのは取材拒否を恐れるあまり報道する側が自主規制し、市長サイドの見解のみを報道しだすことである。その結果、市民が知らされる情報は皆同じになる。為政者に不都合な情報は市民の耳に届かなくなり、やがては一方的な情報のみを信じさせられ、敗戦直前まで戦争に勝利していると信じさせられていた当時の日本国民と同じ状況になる。

 例えばトランプ氏。大統領に正式就任前から生産拠点の国外移転を表明あるいは計画している企業批判を繰り返しているが、その「恫喝」に屈する企業が複数社出てきている。日本企業のトヨタもアメリカ国内への投資額をしきりに表明しだした。
 自主規制がすでに始まっているということだ。恐らく今後、多くの企業が政権に尻尾を振るように自主規制をし始めるに違いない。もはやアメリカは自由の国ではなくなりつつある。
 これは対岸の火事ではない。すでに日本もというか、日本はそれより早く政権により締め付けが始まっている。安倍政権のNHK、朝日放送への放送権を盾にとった「恫喝」をはじめ、地方自治体でも近年ワンマン型首長が目立っている。
 メディアの役割は権力の監視である。権力の座にある者が何を考え、何を実行しようとしているのか、したのか。そうしたことを逐一、国民、市民に知らせるのが役目である。
 自分に批判的だというだけでメディアを閉め出すとどうなるか。結果は言うまでもないだろう。ところが、そうしたことが今、国の内外で現実に行われている。しかも、「ミニトランプ」が世界で激増しつつある。まるで歴史の歯車を後ろに引き戻すように。
 歴史の歯車を後退させるのか、それとも前進させるのか−−。そのことが我々に今、問われている。


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