地球温暖化の影響を受けたラッキョウ畑(2)
〜政治家と霞が関の地方移転を


 ハモグレがラッキョウの葉に卵を産み付けても地下の球根までダメになるわけではなく収穫はできるそうだ。とはいえ葉が影響を受ければ光合成は落ち、球根に養分が行き届かない。
 植え付けするのは1球で、成長するにつけ5〜8球に分球する。ところが、ハモグレが葉に潜り込めば分球する数が減る。1株から収穫できる球根が減れば当然、収穫量が落ち、その分、収益が少なくなる。
 それどころか害虫駆除の薬剤散布費用はかかるし、手間暇は変わらないどころか負担増になり、ラッキョウ農家にとっては二重、三重に打撃を受ける。
 それでも梨栽培も行っている農家はまだいいと言う。
「梨の収入の方が大きいから、そちらでなんとかなるが、うちらのようなラッキョウ専業農家は大変。砂地でラッキョウしか作れないから仕方なく作っているけど、年取って段々作業もきつくなってきたし、廃業するかどうか考えています」

政治家と霞が関の地方移転を

 温暖化の影響はハモグレバエだけではなく、イノシシや熊などによる獣害被害も増えていると聞き驚いた。
 イノシシや鹿の出没は近年、地方でよく耳にするし、私自身も何度か直接目にしたこともあるが、早朝ウォーキング中に目の前を鹿が横切った時は驚いた。こんな生活圏でも鹿が出没するのかと。

「イノシシがラッキョウを食べるわけではないんです。遊ぶんですよ、畑で。走り回ったりゴロゴロして。電柵をしている畑があるでしょ。あれはイノシシ除けですよ。畑で暴れられたらダメになるでしょうが。イノシシだけやなしに熊も出るんですよ」
「イノシシの話はあちこちで聞きますけど、熊も出るんですか。前から熊、出てました?」
「いや、最近ですよ。前は熊なんか見たことなかった」

 私の田舎でも10年ほど前から熊が出没しているという話を耳にするようになったが、砂丘にまで熊が出るとはちょっとした驚きだった。熊の生態域がどんどん広がってきているということだ。
 地球温暖化でおいしい北海道米が作れるようになったと、どこぞの大臣が言っていたが、そういう発想は都会人や都会育ちの政治家の思考で、地方では生活に直接関わる死活問題。地球温暖化や環境問題は都会にいるより地方の方がよく分かるし、実感できる。
 かつて中国では文化大革命中に都会の知識人を農村に行かせ、そこで数年以上生活させる「下放」という強制移住政策が実行されたことがあった。きちんとしたシステムなしに実施されたため種々の問題が生じたり、懲罰的な意味合いも含まれたりと負の側面ばかりが浮かび上がったが、地方の現状を身を持って体験するという意味では、あながち否定されるものではないと個人的には考えている。ただし、きちんとした制度設計をした上で、という注釈付きでだが。

 人の思考は環境によって変わる−−。都会に住んでいて便利さばかり享受する生活をしているから、地方や困窮している人達を思いやれないので、それならいっそ霞が関を地方に移転させるぐらいのことを考え、実行してみたらどうだろう。そうなれば会議ばかりの温暖化阻止ではなく、本腰が入ると思うが。


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