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過去形で語る人、未来形で語る人、出来うる支援を。
〜東日本大震災の寄付に見る人間模様


 まず、今回の東日本巨大地震で被災された方々、あるいは親戚、友人、知人等関係者が被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
そして皆さんの安全と、1日も早い復興をお祈り申し上げます。

素早ければいいわけではない

 人間は予期せぬ出来事に遭遇すると普段とは違う行動態度を取ることがよくある。
そのことが今回の東日本大震災後に各地域で取った各人の行動でも見て取れる。
 まず地震直後の3月12日の夜中に被災地に救援物資を送ろうというメールが届いた。
なかなか素早い行動である。
しかし、被災の様子からして救援物資を送っても恐らく届けられないだろうと思い、そのメールを他に転送せず、私のところで留めた。
 すると日付が変わって間もなく「現時点で運送会社の体制が十分整わない事が判明、現状では公的機関への募金が無難だという見解に達しました」という訂正メールが届いた。素早い行動ときちんとした対応だった。
 ただ、この種のメールには注意も必要だ。よく考えずに友人知人に転送すると、チェーンメールが増幅し、とんでもない結果を招くこともある。現実に福岡市で救援物資の呼びかけをした人の所に大量の物資が持ち込まれ、途中で断る事態も起きている。物流手段をよく考えずに、ただ呼び掛けると「善意のチェーンメール」が起きるのがネット社会の怖いところだ。

過去形と未来形、寄付の2つのタイプ

 次に全国で募金活動が湧き上がった。国内のみならず世界の国々で日本の被災地のために募金する人が相次いだ。このうねりは素晴らしい。私も少額ながら募金した。
 その一方で、募金活動を利用する人達も現れた。被災地支援と名乗って個人的利益のために募金を集める人や集団だ。この種の活動は以前から某宗教団体等が名前を変えてよくやっていた手口なので注意が必要だ。
 募金するにも相手を確かめないといけないとは嫌な時代だが、人々の善意の心に付け込む詐欺まがいの募金活動も出現しているので要注意。

 「寄付やボランティアは貧乏人(持たざる人)の方がする」。私は昔からそう言っている。
「貧乏人の方が」とは「金持ちに比べて」ということだ。金持ちは金を使わないから金持ち、という言葉があるが、貧しい人達の方が助け合いの精神を持っていることは間違いない。
 それは自分が助けられたことがあり(物質面だけでなく精神面でも)、その時のありがた味を知っているから、今度はお返しをしたいと思うのだ。
 こうした行動は今回でも多く見られた。阪神大震災で被災した人達がいち早く動いたし、口蹄疫で苦しめられた宮崎の人も「その時の恩返し」と救援物資を送っている。

 一方、金持ちは自分の力でのし上がってきたという思いが強いから、一般的に弱者に対して冷たい。特に市場原理主義、新自由主義的な考えが強くなった頃からこの傾向が増してきた。

 ところが今回の震災ではこの「定説」が打ち破られた。
セレブと言われる人達がこぞって募金をし出したのだ。まるで競い合うように。
こういう競い合いは歓迎すべきことだ。非常に喜ばしいし、大いに勇気づけられる。
 だが、よく見ていると、彼らの行動は2つに分かれた。過去形で語る人と未来形で語る人に。
 感動したのは元ニュースステーションのキャスター、久米宏さんだ。
彼は18日、朝日新聞社と朝日新聞厚生文化事業団が実施している「東日本大震災救援募金」に2億円を寄付した。
 感動したのは寄付金の多さもさることながら、「寄付した」と過去形で発表されたことだ。久米さん本人が発表したわけではない。朝日新聞厚生文化事業団が発表したのであり、本人は一切コメントもしていない。

 「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長も個人で10億円を寄付すると14日に発表した。そのほか「ヒートテック」30万点、タオル、ジーンズなど計7億円相当の商品、さらにグループ各社や従業員から募った4億円も合わせて寄付する、と。
 楽天の三木谷浩史会長件社長も「10億とかの単位で考えている」と14日に発表している(彼は04年の新潟県中越地震の時には1億円を個人的に寄付している)。

 セレブの多くが寄付金、寄付行動を事前に発表するのに対し、久米さんの黙って寄付した行動は際立っている。
 もちろん寄付の仕方には色々あるし、これから寄付すると発表するだけで、随分勇気づけられるのは間違いない。
 そういえば福岡にも億単位の年俸をとっている創業者が複数いたが、彼らも寄付したのだろうか。自分の年俸の多いことが社員の励ましになるのだというようなことを言っていたが、こういう時こそ被災者の励みになる行動を取って欲しいものだ。
 
それにしても日本のセレブは個人用飛行機ぐらい持ってないのかと思う。持ってなければヘリコプターをチャーターして即座に救援物資を空輸するぐらいのことができないのかとも思ったが、恐らく事前に飛行プランを出さなければならなかったり、なんだかんだと面倒なことが多いのだろう。

 私の家族も2年近く前に被災したから分かるが、被災地への支援はタイムリーに、そして息長く続ける必要がある。先日、岡山県美作市・兵庫県佐用町の水害復旧工事現場を見て回ったが、集中豪雨被害から約2年近くたったいま頃護岸工事が行われていた。それを考えると東日本の復興はかなり長い年月を要するだろう。それだけ息の長い、継続支援が必要になる。一時的、ブーム的な募金活動もそれはそれで重要だが、一過性で終わらないようにしたいものだ。

高まるボランティアの必要性

 ボランティアを本当に必要とするのはこれからだろう。
地方はどこも高齢者の家が多い。それだけにボランティアのマンパワーを必要としているはずだし、私の実家も被災後、ボランティアの手助けでとても助かった経験がある。ところが、いま被災地はボランティアを受け入れたくても受け入れられないジレンマに陥っているという。
 行政機能がマヒというより、喪失していることが1つ。
次はガソリン、食料、宿泊所不足で、他県からのボランティアを受け入れることができないこと。裏を返せば、食料、ガソリン持参のボランティアは歓迎ということだ。
 すでに県内のボランティは疲れが出ており、交代が必要なのも事実だろう。
となると個々の動きではなく、組織的にボランティを送り込み、交代させるようなボランティ統括組織(自衛隊の救援活動などがまさにそうした形態なのだが)が必要だ。
 ともあれ、これからますますマンパワーの必要性は高まってくるので、皆が力を合わせ、できる協力を一つずつやきたい。


以下は情報です。
詐欺サイトも現れているようなので注意してください。
東北地方太平洋沖地震 募金・ボランティア募集の活動 一覧表

私が振り込んだ先は
NHK、中央共同募金会、日本赤十字社、NHK厚生文化事業団の「中央共同募金会」
ですが、現場で救援活動を行っているNGO、NPOへの支援寄付も必要だと思います。

郵便振替口座
 口座名義:中央共同募金会
      東北関東大震災義援金
 口座番号: 00170-6-518

 口座名義:日本赤十字社
      東北関東大震災義援金
 口座番号: 00140-8-507



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