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繰り返し見る夢


 いつの頃からだろう、夢を見なくなったのは−−。40代までは、よく夢を見ていた。夢といっても、いわゆる「ドリーム」ではない。寝ている時に見る夢だ。
 見る夢はいつも同じで、2種類。 なぜ、こんな夢を見るのか、どういう心理状態の時に見るのか分からなかったが、何度も繰り返し見ていた記憶がある。特に30、40代頃に。
 最初は皺くちゃの紙のようなものが見え、やがて皺が伸びて、紙のように見えるものがピーンと平らになっていくのだが、その過程がとても気持ち悪いというか、眩暈にも似たような感覚を覚え、吐きたいような気分になり、目が覚める。
 何度も何度も、繰り返し見るものだから、身体の異常かと思ったが、取り敢えず夢分析を行ってみた。まず、夢を見る前数日から1週間程の行動、心理状態を振り返って考えたが、これといって思い当たるものは見当たらなかった。

皺がなくなる恐怖

 それでは紙のように見えるものは何なのか。なぜ、皺くちゃで現れ、やがて皺がなくなっていくのか。それは何を表しているのか、それとも何かを象徴しているのだろうか、と考えていくうちに、あることに気付いた。
 皺がある状態とない状態では明らかに後者の状態、つまり皺がなくなっていく状態に非常に不安を覚えているわけで、その不安が常に私の精神(こころ)を襲っていた。皺がなくなり、のっぺらぼうの様になることを私は極度に恐れていたのだ。

 抑圧となって私の精神を襲っている原因さえ分かれば、恐らく精神は解放され、嫌な夢からも解放されるに違いない。
 しかし、そこまで分かっても、その先が分からない。皺が何を象徴し、紙のように見えるものは何なのかが分からないのだ。だが、ある時、これは自分自身の脳みそではないか、夢の中で自分の脳を見ているのではないかと気づいた。
 紙のように見えたものは脳みそであり、最初は脳に一杯皺があったが、皺がなくなっていく。つまり自分がバカになっていくわけで、これは私にとって恐怖以外の何物でもなかった。
 その頃なぜそれ程自分がバカになることを恐れていたのか分からない。知的欲求に飢えていたわけでも、精神的満足感が得られない環境にイラついていたわけでもなかったはずなのに。

 当時、懇意に付き合っていた友人に九州大学理学部教授がいった。私より8歳年上だったが、まるで同年配のような付き合いをしていたというか、魂が乾いてくるとどちらからともなく誘い合い、喫茶店で、スナックで、時間を忘れて話し合った。魂の餓え(かつえ)を癒すように、文学から社会、政治、時には彼の専門の大気物理の問題まで幅広く話し合ったものだ。
 だから知的欲求、精神的充足感はある程度満たされていたはずだが、もっともっとと餓えていたのかもしれない。その思いが脳の皺が減っていくという形で夢に現れたのだろう。
 無二の友人、話し相手の彼が肝臓がんで他界して20年近く。以来、魂の渇きを癒す相手はいなくなった。そしていつの間にか皺がなくなる夢を見ることはなくなった。

足が動かなくなる恐怖

 もう一つは足が動かなくなる夢だ。最初は軽快に歩いているのだが、やがて何かに追いかけられている感じがし、必死に足を前に動かそうとするのだが、足は重りを引きずっているように重くなり動かない。それでも両手で持ち上げ、なんとか歩を進めようとするが重くて重くて・・・。
 何かが追って来ているようにも思えるが、相手の姿を見る前にというか、何かに捕まれそうになる直前に目が覚めるから、まだ相手の正体は見ていない。

 一体、この夢は何を暗示しているのか、何を象徴しているのか。精神を抑圧しているものは何なのかが分からない。分からないから今でも時々この夢に悩まされている。
 現実的な答えは膝痛。腰痛は持病のようになっており、長年これに苦しめられ、整骨院とも何十年という付き合いになるが、どこに行っても一向に治らない。歩かないと腰や膝が痛くなる。かと言って歩き過ぎると(せいぜい8000歩程度で)翌日足腰が痛む。骨盤の歪みから来ているのではないか、というのは長年整骨院と付き合ってきた自己診断で半ば当たっていると思っているが、最近はマッサージ中心の整骨院ばかりで、対症療法みたいなものだから一向によくならない。デスクワークを止めるのが一番なのだが・・・、。
 もしかすると膝痛で脚が動かなくなることを恐れ、それが精神的抑圧になっているのかもしれないが、フロイト流に言えば夢が象徴していることはもう少し違うようだ。

 いずれにしろ何かから逃れようとしている、何かに追いかけられていると精神が感じているのは事実だろう。最初の夢は脳の皺であり、知的欲求に飢えていることが原因だと、無意識の意識化はできた。
 だが後者の夢の無意識の意識化はまだできていない。できていないから今後も恐らく同じ夢を見続けることだろう。精神(こころ)の断捨離が必要なのかもしれない。



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