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恐怖を感じた真夜中の豪雨


栗野的視点(No.893)                   2026年9月4日
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恐怖を感じた真夜中の豪雨
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 数日前の深夜、凄い音がしていて目が覚めた。
何かが窓を叩いているような、屋根の上で音がしているような感じがした。
それが雨の音だと気付くまでにしばらくかかったが、雨が叩き付けている音だと分かったら、今度は水が怖くなり、慌ててカーテンを開け庭を覗いた。

 この夏の雨の降り方は異常で、短時間に集中的に降るから、あっという間に辺り一面水浸しになる被害が各地で相次いでいるだけに、今まで聞いたことがないような降り方の音に内心ヒヤヒヤした。
 もし庭が水浸しになっていれば2階に避難した方がいいだろうと考え、庭を懐中電灯で照らし、こわごわと見た。
 大丈夫。水は出てない。
確認してホッとした。

 次に各部屋を見て回り雨漏りがしてないかを確認した。
何と言っても異常な降り方だけに雨漏りしてもおかしくはない。
だが杞憂に終わりホッとしはしたが、何分夜中だし一人住まい。
もしものことを考え2階に靴を持って上がり、2階で寝た方がいいかもと考え、その準備をしていると雨音が先程までのバリバリと叩き付けるような音から少し小さくなった。

 これなら2階に避難しなくても大丈夫かと思いながらもしばらく起きて様子を見ていると20分ほどで雨はほぼ小降りになったから、2階に移ることもなく1階でそのまま寝たが真夜中に経験したことがない豪雨の音で起こされ少し怖かった。

 それにしてもこの夏は全国各地で豪雨被害が出ている。
共通しているのは「短時間」に「今まで経験したことがない雨」が「局地的に」降っていることだ。
 短時間に集中的に降るものだから、あっという間に水嵩が増し、川は溢れ、川も道路も見分けがつかなくなる。
 これでは逃げる間もないし、これぐらいは大丈夫と考え、歩いたり、車を運転して進もうとすると数分以内に水没し、うかうかしていると車のドアが水圧で開かなくなり、脱出することもできなくなる。

 さらに悪いことに全国どこでもいつでも豪雨災害が起きていることだ。
急に雨雲が発生し豪雨をもたらすものだから予測不能、避難時間もなしで多くの車が水没している。

 そんな映像がニュースで流れても実際に遭遇するまではどこか他人事(たにんごととは読まない)。知識と現実場面は違うもので、その場に直面するとパニックになりシミュレーション通りの行動を取れないことがままある。

 難しいのはその場に留まったり、安全な場所へ避難することで、最善の方法は引き返すことだが、実はこの決断が最も難しい。

 人間は一度決めた目標を取り止め、後退する行動は取り難い。
なぜ取り難いのか。
 そこには古い価値観、「男らしくない」とか「弱虫」と見られる、批判されたくないという意識が働くからかもしれない。
 その典型が第2次世界大戦での陸軍の撤退を「転進」と言い換える命令。あくまで「後退」と認めたくないから、方向を180度変えて「前へ進む」のである。故に後退、撤退ではなく「転進」だと。
 このように言葉を言い換えてでも「前進」に拘るから、当然、「転進」(撤退)命令・指示は遅れる。
 後退・撤退が遅れた結果、待っているのは言わなくても分かるだろうが、早く撤退していれば死ななくてもよかった多くの人命が失われた。

 もう一つは1902年(明治35年)の「八甲田山死の彷徨(雪中行軍遭難事件)」。
これは冬の青森・八甲田山で行われた陸軍の冬季訓練である。事前の情報、経験、装備不足の中で行われ、雪深い山中で方向を見失い210名中199名が死亡した遭難事件であり、映画「八甲田山」や新田次郎氏の「八甲田山死の彷徨」などが有名だ。

 私事だが、雪の中を進む怖さ、情報を得ながら早期に引き返す決断をしなかったが故に冬の中国自動車道で遭難しかけたことがある。

 今から20年前後前のことだ。
冬、福岡から岡山県北東部に向けて走っていた。
中国自動車に入った辺りで「この先、降雪」「冬用タイヤ装着」の警告表示が出ているのを目にしながら、空は明るく日も照っていたので、進路を変えるという決断をしなかった。

 その結果、山口IC辺りからの降雪が進むにつれて積雪になり、前方が降雪で見えにくくなってきた。
 その段階でどこかのインターで高速を降りるべきだったが、午後2時頃という時間が判断を鈍らせた。
 山口県・徳地IC〜広島県・戸河内IC間は雪用タイヤ、タイヤチェーン装着の案内が出ていたが、3時までに走り抜ければ大丈夫だろうと考え、無謀にも速度を上げ早く走り抜けようとした。

 それからすぐ景色が一変した。辺りは真っ白。もう50m先も白く霞んで見えなかった。
 引き返したかったが高速道路でUターンはできない。SA、PAがあればそこで止まるしかないが、雪がいつやむか分からず、最悪、SAかPAで助けを待つしかないと覚悟する。

 すると前方に「バリケード」が敷かれ車を止められた。
誘導員がいて、この先はタイヤチェーンがなければ通行できない、と言われた。タイヤチェーンは持ってないと告げると、Uターンして岩国方面に行くと山陽自動車道に乗れる。山陽自動車道は雪が降ってないから走れると教えられ、下り線にUターンできるように通路を作ってくれた。
 それで命拾いをした。

 危険を感知すれば即座に留まり、躊躇せず避難行動を取ることが命の分かれ道になる。
 今夏の豪雨でそのことを改めて思い出した。


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