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客を捜してから商品を開発する
近年、日本がものづくりで韓国、中国などの後塵を拝しだしたのは、一つには官民挙げて信奉している「モノづくり神話」がありそうだ。「モノづくり神話」−−いわゆるいいモノを作っていれば売れる、という「神話」であり、もちろん現在、この言葉をそのまま信じている者は官にも民にもいないだろうが、それでもまだ技術偏重の傾向はこの間まで色濃く残っていた。
なぜ、これを「神話」というのか。それは「技術力が高ければ売れる」と考えているからで、いまや「技術力が高いのは当たり前」である。それは前提で、この前提の上に何が必要なのかということだが、相変わらず「前提論議」を繰り返しているところに問題がある。
韓国、中国に限らず新興国の技術力はどんどんアップしている。高い技術力を標榜するなら、それ以上の技術力を身に付けていなければならない。逆に言えば中途半端な技術力では替わる企業は世界中に五万といる。
にもかかわらず、この国の中小製造業対策は相変わらず中途半端な技術力アップ指導に終始している。これでは新興国に仕事を取られるのは当たり前だろう。
では、何が必要なのか。
その点でも青山は非常に興味深いことを言っている。
「モノづくりで大切なのは技術だが、作るより売る方が難しいと思う」
「マスターベーションでモノを作っていてもダメ。自分でいいと思っていても客が買ってくれないものはダメだ」
多くの中小製造業が陥りやすいのは「作りたいモノを作っている」ことだ。そこには「マーケット」という考え方がない。マーケットの存在や動向を無視したモノづくりは「マスターベーション」以外の何ものでもない。これではどんなにいいモノを作っても売れるはずがない。
もちろん例外はある。マーケットが後から生まれることがごく希に存在するからだ。ただ、それはかつて存在したことがない分野だったり、最先端技術を駆使した非常に新規性に富んだモノの場合で、こういうモノは市場で少しでも売れるようになるまでに10年以上はかかる。
そこで青山は次のように言う。
「新商品は客を捜してから開発に取り掛かる」
「出来た商品を買ってくれる客を見つけるまで慎重になるべきだ」
一般的に製造業は商品を作ることがゴールになっており、青山のように「客を見つけるまで慎重になる」ところは非常に少ない。
それにしても青山の戦略的な発想はどこから来ているのだろうか。
それを知るためには創業前のことに少し触れる必要がある。
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