|
飽くなき欲望が環境破壊を招く
科学の進歩は人を幸せにするのか。
少なくとも「鉄腕アトム」が流行った60年代は科学の力によって明るい未来が切り拓かれると、恐らく人類皆が信じていた。
ところが70年代には「科学の進歩=明るい未来」ではないという事実が次々と明るみに出だした。
公害問題、ベトナム戦争における枯葉剤の散布、それに続く農薬散布による作物汚染、廃プラスチックによる環境汚染(その中には動物や魚類、さらに人間も含まれている)、原発事故と増え続けている使用済核燃料の処理問題、さらに最近ではPFAS汚染等々、我々の日常生活は化学物質の汚染と「共存」していることは、今では世界共通の認識になっている。
科学の進歩は両刃の剣である。だが、人類は片方に目を瞑り、都合のいいもう片方だけを見詰めてきたが、それも限界にき、負の側面を注視せざるを得ない状況になっている。
だが一度手に入れた便利な側面が両刃の剣、あるいは使い方を誤ると劇薬になると分かっていても楽をする方に流れ、さらに楽ができるものを追い求める。
人々がより便利なもの、楽ができるものを求めるから科学者や技術者はそれに応えようとする。あるいはそういうものを創り出そうとし、また創り出していく。それが使用過程でどのような副作用を引き起こすかということは考えずに、あるいはそこには目を瞑り、人間の欲求を満たすことだけを考え、そうした製品、商品を世に送り出していく。
それはなにも科学者、技術者に限ることではない。流通業者も同じか、それ以上に商品を過剰に供給し続け環境を破壊し続けてきている。
ファストファッション業界は大量生産を決してやめようとせず過剰生産・過剰供給を続けている。
ユニクロはなぜ大量生産をやめて適量生産・適量供給に替えないのか。理由は簡単だ。柳井正氏を筆頭とする彼ら企業が儲けるためである。
そのためには環境破壊に繋がろうと、発展途上国の労働者を搾取しようとお構いなしだ。いや、世界に品質のいい商品を低価格で供給していると自負さえしている。
そして、それを支えているのは我々消費者であることも事実だ。
「ユニクロがヒートテックインナーを安く売ってくれるお陰だ」と。
人は一方的に不利益をこうむれば怒るが、少しでも恩恵に預かると(例えばユニクロのヒートテックが安いと喜んだり)、目先のことに喜び長期的な視点で見ることをやめる。
かくして消費者に支えられていると思い込み、ますます過剰生産に注力していく。中国からベトナム、カンボジアへと安い労働力を追い求め生産地を変えながら。
そこには長期的な視点、言葉本来の意味での「グローバル」な視点はない。あるのは短期的、自社利益優先の視点だけだ。
そしてそれを支えているのが我々消費者だが、消費者もそこには目を瞑り、目先のコストを優先させる。
ところでコメ不足が叫ばれていた裏で廃棄処分にされたコメがどれくらいあるかご存じだろうか。
1日8トンの米飯が廃棄物処理業者に回されていたのだ。これは5万3333杯分のご飯に相当すると言えば驚くだろうか。
これだけの米飯が1日に捨てられている。そしてその多くは家畜の餌として消費され、残りは焼却処分されているのだ。
なぜ、こんなことが行われているのか。作り過ぎだけが原因とは言わないが、主要な原因の一つなのは間違いない。
例えば恵方巻。もともと大阪地方の風習に過ぎなかったものが全国に広がっていったが、全国的に広げたのはコンビニ。おそらくセブンイレブンが中心だったと思うが、売り上げ拡大の商機と捉え、全国のチェーン店に導入し、宣伝した結果、2000年代以降に急速に広まった。
節分の翌日には売れ残った恵方巻が大量に廃棄され、その写真等がSNSで広まったこともあり、最近は少し廃棄量が減ったが、それでもまだかなりの量が廃棄されている。
その一方でコメも買えない相対的貧困層が増えているというのに。
(8)に続く
|