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菅直人の野望(1)〜第1次民主党政権の失敗


第1次民主党政権の失敗

 第2次菅内閣の顔ぶれが決まった。
これで菅政権は浮揚するだろうか。
私の予想ではノーだ。
 当初国民は民主党政権に「激変」を期待した。
100%の変化はないと思いつつも、せめて80%、いや60%でもいいから、とにかくいまの状況を変えてくれることを望んだ。
結果はどうだ。
期待は失望に変わり、次は裏切りに対する怒りへと変わった。

 最初に失望感を国民に抱かせたのは鳩山前首相だった。
たしかに彼は決断力、実行力に欠けた嫌いがある。しかし、自ら「宇宙人」と称するように、従来の政治家に欠けていたものを彼は持っていたし、それを語った。
理想である。
空想主義、非現実的と批判されもし、私自身もそう感じた。具体化する道筋をもう少し考えるべきだ、と。
 彼の不幸は周辺に有能なブレーンがいなかったことだろう。
それと野次馬根性的に言えば首相夫人が国民受けしなかった。その点、菅さんの方は夫人が庶民的で、その上賢夫人、別の言い方をすれば格は菅さんより夫人の方が上だろう。いつの世も男は一緒にいる女で評価される。いずれにしろ夫人が菅さんのイメージアップに貢献しているのは間違いないだろう。

 それはさておき、第1次民主党政は本来なら最強の布陣になるはずだった。最強の布陣とはどのようなもので、なぜそうならなかったのか。

1.鳩山、小沢のタッグが組めなかった
 理想を語る鳩山に欠けていたのは、それを具体化する政治家だった。
その点、小沢一郎は適任だった。彼は政治のあらゆることを(裏も表も含め)知り尽くしていた。しかも永田町に棲んでかっこいいことだけをやりたがり、泥を被ることを嫌がる政治家ではなかった。
 余談だが小沢一郎が好きな政治家は近代日本のシステムを作った大久保利通である。だが、その一方で情の西郷隆盛にも惹かれるものを感じていたようだ。
 ともあれ、小沢は内閣には入らず党の幹事長として実験を握った。ここまではいい。最強のタッグたりえるからだ。ところが彼は内閣のことに口を出さなかった。それが間違いだった。口を出すべきだった。影の総理と非難されようと。そうすれば鳩山政権はあんなに短期で終わることはなかったはずだ。

 小沢一郎が入閣しなかったのには理由がある。自身の政治団体が政治資金規正法違反で訴えられていたからだ。入閣すれば国会でそのことに質疑が集中し、スムーズな国会審議ができなくなる。そう考えたから鳩山首相(当時)も入閣要請をしなかったのだろうし、小沢自身にもその気はなかったと見える。
 しかし、政権運営に口を出す(アドバイスをする)べきだった。そうすれば未経験者中心の内閣も、もう少しうまく運営できていただろう。

2.小事を軽く考えた小沢のミス
 燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らん−−。政治家小沢一郎を思う時、いつもこの言葉が頭に浮かぶ。小沢の寡黙さはここから来ているのではないかと思うこともある。大きな志も持たない小鳥が些細なことでピーチクパーチク言うな。もう少し勉強してこい、と。
 以前にも書いたが、この態度が誤解を生む要因にもなっている。かつてはそれでもよかったが、いまは小さなことでも国民に分かりやすく説明をすることが求められている時代だ。
 今回、小沢にかけられている疑惑の件などはもっと早い段階で本人が説明していればそれで済んだ問題だ。そういう点では岡田幹事長が「小沢さんがきちんと説明すればそれで終わる話だ」と言っている通りだろう。それなのにいつまでも説明をしないから逃げている印象を与える。説明しないのはやましいところがあるからだ、と思わせてしまう。また、マスメディアはそう思わせるようなニュースを流し続ける。
 果たして本当にそうか。小沢にしてみれば「事務的なミス」で、そんな小事をこれ以上説明するまでもない、ということだろう。
 もし、小沢がこの件で有罪になるなら、多くの政治家は皆有罪になるだろう。大なり小なりというか、表沙汰になるかなっていないかの別はあるが、皆似たり寄ったりだからだ。
 とはいえ、小事への対応を最初に誤ったことで小沢がますます追い詰められつつあるのは、民主党とこの国にとって決していいことではない。          (文中敬称略)
                                                 (続く)


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