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ブランド戦略の成否が「お得感」の演出を左右する(3)


なぜ中小企業は衰退しているのか

 特に問題だと思えるのは「メードインジャパン」「モノづくり日本」を支えてきた中小企業の衰退ぶりである。これは大企業による奴隷的下請け化、過酷なコストダウンの要求など、自らが原因でない外的要因によることが多いが、それだけではない。
 例えば下請けに甘んじ、チャレンジを忘れた結果は自らが引き受けなければならないだろう。
 そこそこ景気がよく、多少なりとも余裕がある時にこそ新しいものにチャレンジすべきだと思うが、その頃取材等でお会いした経営者は一様に、景気が良くて忙しく、新しいことにチャレンジするような時間はとてもじゃないが取れない、と笑顔で言っていた。
 では、いつチャレンジするのか、それとも新規事業等へのチャレンジは一切しないのかと思えば、景気が悪くなり仕事量が減ると必ず言い出す。「このままではダメだ。新しい分野にも進出しておかないと」と。しかし、今度は時間的な余裕があっても金銭的な余裕がない。

 もう一つ不思議に思ったのは、彼らが元請け会社のことを「親会社」と呼んでいたことだ。最初、この言葉を耳にした時は資本関係があるのかと思い、「社長は○○企業の出身なのですか」と尋ねたものだ。そうではない。ただ単に仕事の発注先というだけだったのだ。にもかかわらず「親会社」と呼んでしまうほどの1社依存体質。これがいかに危険かということは言うまでもないだろう。

 大企業が「系列」を重視し、品質管理を含め系列企業群を物心両面でサポートしてくれた時代はそれでもよかっただろう。しかし、いまは違う。系列の関連会社にさえ過酷なコストダウンを要求し、それに応じられなければ他社に発注するという容赦ないやり方が当たり前のようになされているのだ。
まず受注先を「親会社」と呼称する体質からして変えるべきだろう。

 「親会社」呼称に見られるように、中小企業の経営者は非常に真面目である。一生懸命に相手先のことを考えている。そうした姿勢が「メードインジャパン」を支えてきたのは言うまでもない。
 ひたすら技術に磨きをかけ、いいものを作ろうとしてきた。例えそれが表からは見えない部品の一部であっても。だからメードインジャパン製品は高い評価を得てきたのだ。
こうした姿勢は今でも間違いではない。
 では、何が問題なのか。
国全体が貧しく、世界にモノがいまのように溢れてなかった時代には、ひたすら目の前の製品のことだけを考えていてもよかった。
そして1日の仕事が終われば、仲間内で連れ立って夜繰り出してもよかった。
モノがまだ不足していた時代には下請け、孫請けの中小企業は、与えられた仕事を忠実にこなすだけでよかったし、またそれを要求されもした。

 誤解を恐れずに言えば、当時は中小企業に頭は要らなかった。脇目も振らず、与えられた仕事を忠実にこなせばよかったのだ。
 ところが、時代が変わった。
いままで日本の中小企業が行ってきた役割は新興国がこなすようになった。
設備は最新か、それほど差がないものを使い、ないのは経験だけ。代わりに溢れるような熱意、上昇志向がある。最初のうちはバカにした品質も急速にアップしていく。しかもコストは安い。
 これが日本の中小企業が直面している現実である。
にもかかわらず、体質の方は相変わらず昔のままか、その名残りを引きずっている。

                                                (続く)


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