デル株式会社

 


 高級・高額ホテルの逆を行くホテルチェーンがニッポンを救う(1)
〜富裕層相手のビジネス流行りだが


栗野的視点(No.824)                   2020年3月25日
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高級・高額ホテルの逆を行くホテルチェーンがニッポンを救う
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 宿泊施設の高級化、高額化が激増し、観光地は外国からの旅行者(インバウンド)で溢れ、京都を始めとした人気の観光地は日本ではないような様相を呈している。
 自国でありながら「犬と○○は入るべからず」と表示された戦前・戦中の租界地を想起させる。それでもインバウンドブームを当て込み、どこもかしこもが高級化・高額化へと舵を切る中で庶民の見方を貫きチェーン展開を進めているホテルもある。

富裕層相手のビジネス流行りだが

 最近、高級(高額)宿泊施設や食事処が相次いでいる。1泊1人何10万円もしたり、7,000-8,000円もする海鮮丼や1個800円のコロッケが売れているそうだ。そんな所に泊まったり、食べたりするのは誰かと思えば、大半がインバウンドと言われる外国人旅行客。日本の庶民からすれば目の玉が飛び出る程の高額料金だが海外旅行者(欧米だけでなくアジアからのも含む)には「安い」「高くない」らしい。もちろん円安のせいである。
 ということは円高になれば、これらの客は離れるということだが、先のことは考えない。目先さえよければ、という感覚が支配し、我も我もと価格を吊り上げる。

 過去、何度も見た光景、デジャブーがよみがえる。バブル期や、かつて企業が中国に進出した時と同じで、誰も彼もが長期的視野をなくし目先しか見ていない。そうさせたのは政府の補助金だが、政府自身が足下の経済しか眼中にない。まるで打ち出の小槌か魔法の壺でも持っているように錯覚し、補助金を出し続ける。それはすべて税金で賄われ、やがて国民自身に跳ね返ってくるのだが、国民もそこまでは考えない。
 政府は補助金を出しさえすればいいわけで、官僚も使い道まではノーチェックだ。だから不正申請は起こるし、結構ある。彼らもそれは認識しているが、所詮は他人のカネ、税金で自分の懐が直接痛むわけではないから知らぬフリ。
 まるで経済後進国。どこぞの独裁政権下の国と同じで、それらの国を笑えない。

 「Go to travel」をきっかけに便乗値上げをするところが目に付いた。それでも庶民からすれば安く旅行することができるので、それを利用して旅行しようとするのは悪いことではない。
 その程度は庶民のささやかな楽しみ。それぐらいはいいではないかと思っていると、この頃1泊何10万円もする宿泊施設があちこちにオープンしてきた。古民家をホテルに改造してオープンする会社もある。
 ヨーロッパの古城をホテルにしたのと同じ手法で、地方の古い町並みの一軒家を買い取るか借りてジャパニーズ式ホテルに改装する。主な客は国内外の富裕層や、金銭的に余裕がある小金持ち層か、バブル期同様ブームやムードに酔ってその気になっている日本人で、日本人一般ではない。

 定年退職後や資金の余裕がある高齢者がターゲット−−とJR各社の豪華列車でもよく言われるが、退職金で海外1周(あるいは半周)旅行を楽しめる高齢者がゴロゴロいるわけではない。
 むしろ「人生100年時代」という言葉で働かされている(生活のために働かざるを得ない)高齢者は多い。

 メディアの取り上げ方もおかしい。1泊何10万円もするホテルや高額な宿泊施設はすぐ報じるが、その逆の情報は流さない。そして当の宿泊施設側も高めの料金設定の代わりに「おもてなし」で接待と宣(のたま)う。
 「おもてなし」がニッポンの「特産」「特技」「専売特許」であるかのように、この言葉を使うが「おもてなし」とは一体何だ。それは金額、数値など目に見えるものに置き換えられないものなのか。

 AIという言葉を持ち出さなくても、あらゆるものが数値化できる現在、「おもてなし」という感覚的なものでも簡単に数値化できる。宿泊予約サイトには是非「おもてなし項目評価」を導入してもらいたいものだ。
 宿泊施設に到着して玄関前で車から荷物を降ろしていても出迎えにも来ないホテルや旅館はいまや当たり前のように増えているが、雨の日でも傘を差し出さない宿泊施設から「おもてなし」云々という言葉を聞きたくないと思うのは私だけだろうか。

 富裕層相手のビジネスが国の経済をよくするというのは幻想であり、まやかしだ。
 過去の歴史を見れば富裕層のみが富を享受する社会、享楽に溺れた社会に待ち受けているのは衰退か滅亡である。
                    (2)に続く

#リーズナブルで納得のホテル


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