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「エネミー・オブ・アメリカ」の世界が現実に(3)
〜国家による情報操作〜


国家による情報操作

 ともあれIT社会は記録社会であり、利便性の提供と同時に、あるいはそれ以上にリスクも高いが、それにはあまり注意が払われていないようだ。
 最も怖いのは大きな組織(その最たるものは国家だが)によって、収集、記録された情報がある意図で利用されることだ。情報操作が行われていることを本人達に知らされないままに。
 ネット上からソフトをダウンロードして利用しようとすれば、まず住所、氏名、年齢、電子メールアドレス、パスワード等を記入するよう促される。こうして集められた膨大な量の情報が一切ほかの目的に利用されず、厳重に管理されていると信じるお人好しがいるだろうか。多くの場合、「個人情報保護法により」云々と表記されているが、あんな文言はおまじない程度にしか役に立たない。
 どこかでなにかに登録すれば、いまでも必ずと言っていいほど電話がかかってくるのはなぜだ。NTTの電話帳にも載せず、電話番号非表示に設定している電話番号に、どこかの通信販売会社から名指しで電話がかかってくるのはなぜか。情報が漏れている(売られている)からにほかならない。

 それでもまだアナログ時代にはその量はある程度しれていた。当時も各種名簿は売られていたが、それらの大半は公になっている同窓会名簿や業界名簿、地域の電話帳などで、それらを販売している名簿屋が存在していた。情報が売れるといち早く気付いた者達である。
 それがデジタル社会になって質量共に大きく変わった。名簿はコンピューターの中に記録されており、それらはUSBなどの小さなメモリーの中に移すことがいとも簡単にできる。かくして一度に何万、何十万件という情報が漏洩することになった。漏洩とは表現を抑えた(犯罪性を押し隠した)言い方で、本来は盗難、窃盗などと言うべきだろう。にもかかわらず、なぜ「漏洩」と言うのか。それは情報管理会社の責任をあいまいにするためだ。
 大量の顧客情報を「漏洩」したのは自社の社員(アルバイト、パートを含め)が大半なのに、そのことで顧客になんらかの補償をしたという話はほとんど聞かない。目に見える実害(直後に預金口座から現金が引き出されたとか、クレジットカード番号が不正に使用され買い物をされたとか)がなかったからいいと顧客情報を管理していた会社と顧客の双方が考える甘さ故で、いまや情報こそが最もカネになる「モノ」だという認識があまりにも希薄すぎる。そのことが犯罪性をまた希薄にしている。

 人は小さな嘘は見抜くが、大きな嘘には騙される、というようなことを言ったのはヒットラーだが、「国民は大きな犯罪は見抜けない」と言い換えた方がいいだろう。
 原発の「安全神話」などその最たるものだろう。あれだけの事故があった後でさえ、あれは「異例」で、ほかは安全だと信じさせようとしている大きな勢力が存在し、その嘘を信じようとしている人達もいる。

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